令和5年9月13日、中医協総会が開かれ、10月以降の新型コロナ感染拡大に伴う診療報酬特例の在り方について議論された。結論がでるのは、9月20日の中医協になるのではないかと思われるが、点数は伏せられているもの、厚生労働省案としてその考え方が示されているので確認しておきたい。
まず、病院・診療所における新型コロナ及び疑い患者への対応状況についていくつか示されたが、経験値の積み上げや感染対策向上加算のカンファレンスの影響もあったことだと思うが、ノウハウや対応方針などがうまく共有されていることが明らかにされている。
とはいえ、新型コロナ患者数は大きく減っているわけでもなく、まだ当面は変異を繰り返しながら対応は求められる。そこで、今後も当面は特例は継続していくが、効率化が進んでいると思われるポイントについて点数を見直していくことになる。
全般的に点数を引き下げて当面継続となるが、やはり気になるのは、その後。新型コロナを含む新興感染症対策の評価の在り方、すなわち次回診療報酬改定での対応ということになる。今後に向けて意識しておきたいのは、都道府県との連携協定と細分化した感染対策コミュニティの検討と考える。
都道府県との連携協定については、協定の中身がまだ明確でないこともあって二の足を踏んでしまう。しかしながら、今後の感染対策向上加算(外来含む)の届出においてはこの連携協定が必要になる可能性が高く、感染流行初期段階にいち早く補助等が得られることもあり、あくまでも目安だが施設数も明示されていることから早い意思決定が必要だと思われる(参照:感染対策向上加算、新興感染症対策への対応への備えを。抗菌薬の使用量の適正化を連携を通じて強化へ。)。
そして、感染対策のコミュニティだが、二次医療圏ベースで考えていくとあまりにも大きいので、現在公表が進む紹介受診重点医療機関を中核にした二次医療圏を細分化したコミュニティの形成と連携を考えていきたい(参照:公表が続く「紹介受診重点医療機関」、確認しておきたい「連携強化診療情報提供料」の意味。)。2021年に国土交通省から人口減少時代に合わせた新しい都市機能について考えをまとめている(参照:人口減少時代の都市機能に果たす医療機関・介護施設の在り方 ~国土交通省の考える地域包括ケアシステム~)。高齢人口割合が増加して移動の問題が出てくるものの、デジタル化の進展や在宅医療の進展があり、コミュニティをもう少し狭め、人口10万人の規模の地域生活圏を設定し、さらに小学校区などを複数集めた生活圏を作り、それぞれで拠点を設けて連携をしていく、というもの。今後も増えていくであろう在宅医療・介護との連携を考えると、拠点病院との接近が必要になることもある。基幹病院を核に、各生活圏に紹介受診重点医療機関などが拠点となり、相互に連携しあうことなど地域医療構想調整会議の場などで話し合っていくことなども必要になってくるだろう。すでに次回改定に向けては、高齢者施設等のカンファレンスの参加や感染対策向上加算の届出のない医療機関との連携についても議論が始まっているが、ステークスホルダーが増えることになりコミュニティは細分化していくことは必要になってくるのではないだろうかと思う。
10月以降の診療報酬の特例もさることながら、病床確保料等についても間もなく方針が示される。内閣改造で厚生労働大臣が代わったことにも注目しながら、今後の動向を注視し、お伝えしていきたい。