令和5年 患者調査より、傷病別・年齢三区分別などで将来推計を可視化

1/14/2025

オープン情報 オピニオン かかりつけ医機能 外来診療 患者 入院医療

t f B! P L

  令和6年12月20日、病院及び診療所を利用する患者について、その傷病の状況等の実態を明らかにするために3年に一度行われる「患者調査」の最新の調査結果である2023(令和5)年の概況が公表されている。今回の調査結果は、令和7年度から施行される「かかりつけ医機能報告制度」における1号機能の選定などにも関わってくることになると考えられる。

参考:かかりつけ医機能報告制度の今後のスケジュールが明らかに。「協議の場」と「地域医療構想調整会議」の関係性などは?

 
公表されているデータを用いて、地域の実状と比較ができるように可視化をしてみた。

参考:HCナレッジ合同会社 > 令和5年 患者調査の可視化

なお、国立社会保障・人口問題研究所の年齢三区分の人口推移のデータも組み合わせ、患者調査が行われた2023年を基準として、2030年・2040年の患者数も推計しているが、あくまでも推計値であるので、数値よりもトレンドを確認していただきたい。また、今回公表されている患者調査は新型コロナ禍の影響を受けていることも考えられる傾向が散見される。平時とは異なった結果になっているように見える。今回の調査結果をどのように利用していくか、かかりつけ医機能報告制度で活用していくか、悩ましいところだろう。

1.都道府県別・傷病別・年齢三区分別・外来患者数


2.都道府県別・傷病別・年齢三区分別・入院患者数


3.二次医療圏別・傷病別・年齢三区分別・入院患者数


今回のデータを利用して、弊社のある東京都葛飾区と東京都港区を比較してみる。心不全の患者数の推移を見てみると以下のようになる。


 同じ東京都23区内でも、人口の構成割合は異なり、疾病傾向も異なってくる。なお、葛飾区にある内科診療所は219件で、港区にある内科診療所は538件。一医療機関における医師の負担割合は葛飾区は高くなる可能性がある。今後、医師偏在対策が始まり外来医師過多区域における新規開業に対する規制的手法がとられることとなるが、診療科も加味して考えることが必要になるだろう。また、在宅医療のニーズが高まってくることも考えると、在支診を増やすことを考えるだけではなく、在支診を支える病院の存在・拡充も重要だといえる。人口減少と高齢化の進展は医療機関の医師等においても同様に影響を受け、実際に医療資源が限られた地域に行って感じるのは、開業医の高齢化もあり在宅医療を辞めざるを得なくなったり、閉院をせざるを得なくなり、特定の医療機関に患者が集中し負担だけが重くなっていくということだ。地域としての医療機能を維持していくには、小規模の在宅医療を担うことができる病院が必要なように感じている。一方で、港区のような都心部では競争の激化もあるので、存続していくには受診頻度を下げて自費診療の割合を高めることや、医療資源が限られた地域への分院展開なども選択肢の一つとして考えられるのではないだろうか。

 改革実行プログラム2024には地域別診療報酬についても記載があったのは記憶に新しい。

参考:改革実行プログラム2024より、医療分野の主な集中取組の内容を確認・整理する

 地域の持続可能な医療提供体制を作っていくための環境整備は着々と進められている。データを基に、地域の今とこれから起こることを知り、先手を打った経営をしていくことを意識したい。

お問い合わせ

名前

メール *

メッセージ *

QooQ