令和7年1月15日、第602回 中央社会保険医療協議会総会が開催され、 厚生労働大臣より、昨年末の大臣折衝をうけて期中改定に関する諮問が行われた。その内容は、以前お伝えした入院時食事療養費の引上げ・口腔機能指導加算及び歯科技工士連携加算の引上げ・特定薬剤管理指導加算3-ロの引上げだ。
参考:診療報酬の期中改定の内容と斬新ともいえる薬価中間年改定を確認する
本年4月からの実施となる見通しだが、令和6年度診療報酬改定はレセコンの設定などの準備のため2カ月の余裕があったことを考えると、3月上旬を待たず、告示が行われることが考えられる。
今回の期中改定は、経済環境の変化(物価高、賃上げ対応など)に対応するもの。診療報酬改定は、慣習的に2年ごとに行われているが、法律で定められたものではなく、「慣習的」なもの。新型コロナ感染拡大期などに特例改定は行われていることからもわかるように、社会環境に合わせて対応ができる。今後も、臨時的対応が行われることが増えてくることが考えられるのは喜ばしいといえる一方で、政治からの介入のようなものも懸念されることは注視しておく必要がある。負担軽減のための診療報酬改定DXなどのデジタル環境整備も期待される。
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景気の今とこれからを確認する
期中改定のきっかけとなった経済環境の変化だが、現状と今後について令和7年1月14日に公表された「景気ウォッチャー調査」の結果で確認したい。景気ウォッチャー調査とは、家計動向、企業動向、雇用等、代表的な経済活動項目の動向を敏感に反映する現象を観察できる業種の適当な職種の中から選定した2,050人を調査客体として、毎月実施されているもの。国内景気について、様々な事業者の「肌感覚」を数値化したものと考えていただけるよい。
参考:公的統計、オープン情報の活用① 景気ウォッチャー調査
なお、本調査の指標となる「DI(ディフュージョン・インデックス)」とは、景気動向の方向性を示す指標を意味する。目安として継続的に50%を超えれば「景気が上向き」、50%を下回れば「景気が下向き」と判断されるものだ。残念ながら、現状及び今後については全国的には50%をわずかに下回っている状況だ。ただ、地域ごとにみるとその様相は少し異なる。西日本方面では50%を上回る地域が少なくない。ただ、先行きについては警戒がみられる。地域住民・患者の経済意識を理解することで、受診行動の変化や後発医薬品の選択やリフィル処方箋・長期処方に対する要望への対応などの検討材料としたい。また、職員の日常生活にもかかわる内容であることを経営者層は理解しておきたい。