病床機能報告)回復期機能→包括期機能、医療機関機能報告)高齢者救急等機能→高齢者救急・地域急性期機能へ。基準病床数は必要病床数を上限へ

12/04/2024

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 令和6年12月3日、新たな地域医療構想等に関する検討会が開催された。新たな地域医療構想と医療計画の関係の整理、基準病床数の考え方、病床機能報告及び医療機関機能報告、構想区域、精神科医療の5つのテーマ。主に、医療計画との整合性を図るのが主たる狙いだったといえるもの。

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第9次医療計画や後期外来医療計画との整合性、令和8年度から検討を

 新たな地域医療構想は、構想区域を一つの総合病院と考えるような、外来・在宅・介護まで含めた包括的なものとなる。従来からの医療計画や介護保険事業計画との整合性がますます必要だ。そこで、今後の進め方として新たな地域医療構想の策定作業が令和8年度中に行われることから第9次医療計画(令和12年度)に整合性をもって反映できるように検討を開始することが提案さされている。また、外来医療計画についても同様に、後期3か年計画が始まる令和9年度に向けて令和8年度に検討をする方針だ。かかりつけ医機能報告制度により令和8年6月頃から医療情報ネット<ナビイ>で公表が始まることを抑えておこう。



基準病床数は2040年度の必要病床数を上限に設定を

 医療計画では基準病床数として病床数の制限が地域で設けられてきている。

参照:迫る建替え、チャンスに変えることができるか? ~患者の自宅を病床と発想転換する~

 第7次医療計画から現行の第8次医療計画にかけて、基準病床数は受療率の変化に伴い増加している。高齢者割合の高まりや都心部の人口流入なども影響していると思われる。



 そして、必要病床数についてだが、現行の地域医療構想では2025年の必要病床数を設定し、整備が進められてきたが、当該地域の既存病床数が設定された基準病床数を下回っている場合、必要病床数を上回ったとしても基準病床数まで病床を増やすことが可能となっている。新たな地域医療構想では、在宅も療養の場と考えていくこと、社会全体の生産性向上と入院医療費抑制を踏まえた外来医療の在り方を改めて検討していることもあり、病床数についてはある程度厳密に管理していくことを考えているといえる。

 なお、基準病床数については特例がある。今後もこの特例は活かしていくこととなりそうだが、既存病床数が基準病床数を上回った場合の対応については、都道府県知事による要請・勧告なども検討されているようだ。この点については、先日の秋の建議でも記載があったところ。

参照:2025年度政府予算編成に向け、秋の建議で社会保障に関する議論が行われる ~病院・診療所間・地域間の偏在、特定過剰サービスに対する減算、市販類似品の自己負担など~

病床機能と医療機関機能の表現等を微修正

 基準病床数の見直しに伴い、病床機能報告の在り方についても検討されている。具体的には、従来の「回復期機能」を高齢者救急の受け皿の意味合いも込めて「包括期機能」へと見直すことを提案している。急性期機能との違いを明確にすることも意味しているといえるが、回復期リハビリテーションの機能も引き続き含まれることとなるようだ。

 医療機関機能についても改めて提示されているが、これまでと若干変更点がある。

参照:医療機関機能のカテゴリー・類型(2分類・4+1類型)が明らかに。診療報酬等との紐づけ予測をしてみる。

「高齢者救急等機能」とされていたものが「高齢者救急・地域急性期機能」となり、注意書きとして「高齢者医療においては、マルチモビディティ(多疾病併存状態)患者への治し支える医療の観点が重要」といった文言が追記されている。個人的には「高齢者救急」を外して「地域急性期機能」だけでもよいようにも感じる。


 なお、精神科領域に関する新たな地域医療構想についても検討結果が報告され、地域医療構想において位置づけることが妥当された。ただ、実際の施行には十分な期間を設けることとされた。


構想区域の設定について

 現行の構想区域は二次医療圏をベースに考え、設定されている。新たな地域医療構想でもその原則は変えず、人口20万人以下になった場合や100万人以上の構想機器などでは必要に応じて見直す方針だ。また、在宅医療に関しては、以前も議論された通り、市区町村単位や保健所圏域で考えていくことがベースとなる見通しだ。


 新たな地域医療構想の方針がだいぶ明確になってきた。ただ、現行の地域医療構想はまだ続いており、その結果によっては、各地域で対応方針もがらりと変わる。地域の実情を改めて確認をしておきたい。

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