令和6年12月13日、日本保険薬局協会による「長期収載品に係る選定療養について 施行直後の対応状況報告書」が公表された(N=4,551)。薬局薬剤師による制度の説明で後発医薬品へ切替るという患者が5割を超えているといった報告だ。報告内容の気なるポイント、私自身が実際に聞き取りなどした結果なども合わせて状況を見てみたい。
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説明で5割以上の患者が後発医薬品に。懸念される長期収載品の廃棄リスク
長期収載品の選定療養では、制度の説明が求められている。薬局では「特定薬剤管理指導加算3-ロ」として評価されている。今回の制度開始で、薬局薬剤師の負担感はどうなったのか。結論から言えば、当然負担は重くなっている。その負担に感じている内容をみると、記録や在庫管理といった間接業務が主になっている。
クレーム対応、というコメントもある。やはり、納得いただけない患者もいらっしゃるということだ。
では、実際に説明をしたところ、患者の反応はどうかと言えば、割と切替えに応じてくれる患者は多くいることが分かる。これは、私自身もいろんな医療機関・薬局でヒヤリングをしているが、意外と患者は理解を示してくれていると私も実感している。後発医薬品の使用割合が高まる一方で、長期収載品の在庫が重くなり、廃棄リスクが高まる点に注意したい。
ただ、それでも先発医薬品を自己負担してでも希望する方は約半数弱いる。個人的には、都心部の患者(生活水準が高い?)や貼付剤・点眼剤を使用する患者(使用感?)では多い印象を持っている。
薬局側による医療機関との連携に関するコメントを見てみると、一般名処方が増えていることがあげられている。令和6年度診療報酬改定では、処方箋料が8点引き下げられているのだが、一般名処方加算2(1剤だけでも一般名にする)は8点に引き上げられている。そして、医療機関では薬局のように精度の説明に関する診療報酬上の評価は無い。すなわち、一般名処方とすることが基本ともいえるようになっているといえる。今後、ますます増えていくことが考えれ、薬局薬剤師による対応が必要になってくる。連携する医療機関との長期収載品の選定療養に関する情報共有など話し合っておくこと、ゆくゆくは地域フォーミュラリの作成を意識しておくことが求められてくるだろう。
参照:骨太方針2021に基づき、フォーミュラリガイドラインが示される
なお、コメントの中にはAGを紹介することで切替えが進んだというコメントもあった。分割調剤については特にコメントは見られない。
参照:長期収載品の選定療養が始まってみえたこと、今後に向けて備えておきたいこと
今後、バイオシミラーもおそらく対象に加えられ、議論が進んでいる高額療養費の自己負担引き上げで促進されていくことが考えられる。さらに、指定難病の見直しも進めば、切替はさらに進み、バイオシミラーを含む高額な後発医薬品の使用促進が進むことが期待されるだろう。