令和6年12月2日、紙・カード型の健康保険証の新規発行が終了となった。あわせて、限度額適用認定証の新規発行も終了した。あくまでも新規発行が終了となっただけで、既存の健康保険証は利用できるし、有効期限内にマイナンバーカードと健康保険の情報を紐づけしなくとも資格確認証が送付されてくるので、引き続き3割負担で受診もできる。高額療養費も同様だ。ただし、オンライン資格確認に対応していない医療機関や、システムトラブルがあった場合には対応がこんなになることがあるので、保険者より送られてきている「資格情報のお知らせ」を当面はあわせ持っておくのがよいだろう。
参照:12月2日以降もすでにある健康保険証で受診は可能。「資格確認書」と「資格情報のお知らせ」の違い、限度額適用認定証の新規発行の終了への対応など
電子処方箋、長期収載品の選定療養についての現状は?
普及が遅々として進まない電子処方箋だが、公立病院を中心に導入されてきている。実際によく耳にする事柄としては以下のようなものがある。なお、私は、地方都市への訪問が多いのでやや偏った内容になっているかもしれないことをあらかじめご理解ください。
【薬局】・導入したが、近隣の医療機関からの電子処方箋お控え券の発行がない。保守管理料は支払っているような...。
【医療機関】
・医師がHPKIカードを所有していないことがあり、利用できない、と言われることがある。実際は、オンライン登録で利用できるのだが...。薬局からも同様の理由で、紙の処方箋を発行して欲しい、ということがたまにある。
【薬局・医療機関】
・保険対象外の医薬品は電子処方箋では対応していない。
そして、10月から始まった長期収載品の選定療養についても聞いてみると、以下のような声をよく耳にする。
【薬局】
・一般名処方が増えている印象。患者に説明すると割とすんなりと変えてくれる印象。ただ、外用剤については農作業をされる方等からははがれやすさもあり、自己負担をしても先発品を好まれるケースが多い。点眼でも防腐剤の関連で先発品を好むケースもある。
【医療機関】
・一般名処方の割合を意識して高めていっている。ただ、適応症の関係で一部は医師の判断で先発品を出すようにしている。電子カルテでも対応済み。
新たな制度の導入は、常に当初は混乱があるもの。もちろん、混乱がないことがベストではあるが、混乱が起きることを前提とした対応策を考え抜いて、混乱を最小限にとどめるように、備えに尽くしたい。良くも悪くも、メディアやSNSの情報拡散が影響を与えることも前提に。