令和6年度の補正予算が12月17日中に成立の見通しとなった。経済対策の事業規模が39兆円、関連経費としての補正予算に13兆9千億円を計上するという、大型の対策となる(参照:自民立民 補正予算案あす参院予算委採決で合意 本会議で成立へ<NHK>)。
参照:39兆円規模の新たな経済対策が閣議決定される。医療分野のポイントは?
ここでは、医療分野に焦点をあて、とりわけ医療機関(病院・診療所)、薬局に直接的に関わると個人的に感じるものを確認する。
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全体概要を確認。緊急的な支援パッケージについて。
厚生労働省の令和6年度補正予算案でポイントを確認する。
医師偏在対策についても補正予算では盛り込まれている。「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」における事業承継・開業支援の他、主に中堅以上の医師を対象としたリカレント教育を実施し、かかりつけ医機能を発揮できる医師を養成していく、というもの。
医療DXに対する支援。医療機関・行政・患者にとってのメリットを。
医療DX関連についても目白押しだ。医療機関側に対しては、第4期医療費適正化計画を踏まえての電子処方箋の導入に対する支援の他、リフィル処方箋等の付加機能の導入支援も盛り込まれている。なお、全国医療情報プラットフォームの構築に向けて、電子カルテ情報共有サービスについても強力に支援される。 また、紙・カード型の健康保険証の新規発行終了に伴う様々な支援策もある。マイナ保険証の普及促進と同時に、公費負担医療を必要とする患者のための医療費助成申請のオンライン化や医療扶助のオンライン資格確認対応などがそれだ。マイナ保険証の利用促進には利用する側のメリットが必要だ。
参照:医療DXの費用をユニバーサルサービス料としてどのように負担していくか ~電子カルテ情報共有サービス、医療費助成の申請の効率化そして高額療養費~
新興感染症対策に対する補助
新型コロナに限らず、感染症患者が増えてくる時期にある。新型コロナの支援もなくなり、物価高の真っただ中にありながらも、必要な防護具等の整備をはじめとする環境整備は行っていかなければならない。今回の補正予算では、都道府県との協定を結んでいる(感染対策向上加算、外来感染対策向上加算の届出)医療機関に対しての環境整備や研修に対する支援が行われることとなった。
その他、女性の健康支援などにも注目。
女性が社会で活躍できるための健康相談支援体制を構築するための補助もある。骨太方針2024では「女性の健康 ナショナルセンター」について記載があったところ。医療機関に期待される役割など注目していきたい。
参照:骨太の方針2024(原案)を読む
年内に補正予算成立後、令和7年4月以降からの執行となる予定だ。