診療報酬の期中改定の内容と斬新ともいえる薬価中間年改定を確認する

12/28/2024

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 令和6年12月25日、第601回 中央社会保険医療協議会 総会が開催され、市況や負担軽減の観点から診療報酬の期中改定を令和7年度に実施することと、令和7年度薬価改定について議論された。特に薬価中間年改定については、廃止の可能性についても報道されていたが、従来通り実施(これまでの議論の経緯がわかっていれば、廃止という考えはないことはわかったはずで、報道側のミスリードだと個人的に思います)されるとともに、これまでとは異なる新たな考え方が導入されている点に注目したい。

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期中改定は3点。薬局での長期収載品の選定療養や安定供給に対する説明の評価など。

 見直されるのは「入院時食事療養費」「口腔機能指導加算・歯科技工士連携加算」「特定薬剤管理指導加算3 ロ」の点。




 入院時食事療養費については、食材費高騰への対応がその主な理由だ。患者負担を20円引き上げることになるのではないかと考えられるが、低所得者への対応については今後検討されることになりそうだ。
 「口腔機能指導加算・歯科技工士連携加算」「特定薬剤管理指導加算3 ロ」については、歯科衛生士・歯科技工士・薬局薬剤師の負担を踏まえた評価の見直しといえる。「特定薬剤管理指導加算3 ロ」に関しては、安定供給問題がいまだ続いていることもあるが、本年10月から始まっている長期収載品の選定療養の開始に伴い、薬局では患者への説明が増え、負担になっている。令和6年度診療報酬改定では処方箋料が引き下げられた一方で一般名処方の評価が引き上げられたこともあり、薬局での対応が増えている。

参照:長期収載品の選定療養、薬局での制度説明で5割を超える患者で後発医薬品へ切替がすすむ


 令和7年4月からの実施に向けた議論が年明け早々から行われることとなる。

薬価中間年改定、最低薬価の引き上げの一方でカテゴリ別に対象範囲を設定

 報道では中間年改定の廃止が話題になっていたが、これまでの議論をみていると、そうした意見はなかったので、予定通り実施される。今回の薬価改定について、個人的には3つのポイントがあると考えている。。カテゴリ別に対象範囲を決定する方式を導入すること、不採算品再算定のルールの見直し、最低薬価の引き上げだ。

 カテゴリ別に対象範囲を設定する方式とは、カテゴリ別に細かに薬価改定の対象範囲を決めていくというもの。


 上記の図はまだ議論の段階のもので、たたき台で示されたカテゴリ別の内訳は以下の通りとなっている。

①新薬のうち、新薬創出等加算の対象品目
 平均乖離率(5.2%)の 1.0 倍(乖離率 5.2%)を超える品目を対象とする。 
②新薬のうち、新薬創出等加算の対象外品目
 平均乖離率(5.2%)の0.75倍(乖離率3.9%)を超える品目を対象とする。 
③長期収載品
 平均乖離率(5.2%)の 0.5 倍(乖離率 2.6%)を超える品目を対象とする。 
④後発品
 平均乖離率(5.2%)の 1.0 倍(乖離率 5.2%)を超える品目を対象とする。 
⑤その他
 平均乖離率(5.2%)の 1.0 倍(乖離率 5.2%)を超える品目を対象とする。 

 カテゴリ毎に設定された乖離率の根拠など確認しておきたいところだが、かなり細かに薬価がコントロールされていくことになりそうだ。

 最低薬価の引き上げも行われる。賃上げなどへの対応を意識したもの。なお、引き上げた最低薬価を下回る価格の基礎的医薬品については、引き上げ後の最低薬価と同水準までその薬価を引き上げる。

 不採算品算定については、急激な原材料費の高騰、安定供給問題に対応するため、医療上の必要性が特に高い品目を対象として不採算品再算定を臨時・特例的に適用することとなっている。

 対象となるのは次のいずれかに該当するもの。

・基礎的医薬品とされたものと組成及び剤形区分が同一である品目
・安定確保医薬品のカテゴリA及びBに位置付けられている品目
・厚生労働大臣が増産要請(注)を行った品目 

※組成、剤形区分及び規格が同一である類似薬の市場実勢価格の薬価に対する乖離率の平均 が全ての既収載品の平均乖離率を超える品目(厚生労働大臣が増産要請を行った品目を除く)は対象外

 カテゴリ別に対象範囲を設定する方式は、中間年改定だけではなく、今後の本改定においてもどういった影響を与えるか気にあるところ。製薬メーカーだけではなく、医薬品卸や医療機関・薬局に対してもどういった影響が出るのか、少し気がかりだ。

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