医療法改正に向け「2040年頃に向けた医療提供体制の総合的な改革(案)」が示される

12/21/2024

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 令和6年12月18日、第114回社会保障審議会医療部会が開催され、2040年から始まる本格的少子高齢社会時代に対応していくための総合的な医療提供体制作りの方針となる「2040年頃に向けた医療提供体制の総合的な改革(案)」が示された。令和7年1月24日から始まることが予定される通常国会への提出を目指すこととなる。

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〇5つのカテゴリとその他による6部構成の医療提供体制の総合的な改革

 5つのカテゴリとは「新たな地域医療構想」「医師偏在対策」「医療DXの推進」「オンラインの推進」「美容医療への対応」。「美容医療への対応」を除いては本ブログでもこれまでの経緯等について紹介してきた。また、12月17日に成立した令和6年度補正予算においても、医師偏在対策・医療DXの推進を中心にすでに盛り込まれ、改革待ったなし、という状況だ。

参照:病床機能報告)回復期機能→包括期機能、医療機関機能報告)高齢者救急等機能→高齢者救急・地域急性期機能へ。基準病床数は必要病床数を上限へ


参照:総数の確保から適切な配置へ ~新たな地域医療構想における医師偏在対策に関する取りまとめ案を確認する~

参照:オンライン診療を行う医療機関、都道府県への届出を求める方針。オンライン診療が実施できる通所介護施設等を「特定オンライン診療受診施設」として届出も。

参照:令和6年度補正予算、医療機関・薬局に関するポイントを整理・確認する

 「美容医療への対応」については、主に以下の取組を実施することで課題解決に向けて取組を始める予定となっている。

・安全管理措置の実施状況/専門医資格の有無/相談窓口の設置状況等について都道府県等に対する報告を求め、そのうち国民に必要な情報を公表

・保健所等による立入検査や指導のプロセス・法的根拠の明確化

・医療機関による診療録等への記載の徹底、オンライン診療指針の遵守のための整備

・関係学会によるガイドライン策定

・医療広告規制の取締り強化


その他として、美容医療への対応にもかかわることだが「一般社団法人が開設する医療機関の非営利性の徹底」がある。医療法では非営利性が求められるものだが、一般社団法人立の医療機関の場合、その非営利性の確認で疑義が生じている。そこで、開設時の届出及び確認のポイントを自治体においても対応できるようにすること、医療法人と同様に事業報告書を毎年度提出することなどを求めることとするもの。

また、平成26年10月より「出資持分あり」から「出資持分無し」も医療法人へ移行する計画を立案し、厚生労働大臣に認定を受けることで税制優遇措置を受け、スムーズな移行を促すための「認定医療法人制度」について、さらなる延長の措置についても盛り込まれている。着実に取組は進でいるものの、まだまだ出資持分ありの医療法人は多いのが現状だ。


 令和7年度は参議院選挙や東京都議選なども控えていること、何よりも少数与党であることを考えると、政局にも目を向けておく必要がある。医療提供体制の構築には時間がかかる。ゆえに、時間がかかることこそ早く取り組まなければ、もっと時間がかかってしまう。1日遅れれば1週間遅れる、1か月遅れれば1年遅れる、それくらいの意識を持ちたい。

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