2025年度政府予算編成に向け、秋の建議で社会保障に関する議論が行われる ~病院・診療所間・地域間の偏在、特定過剰サービスに対する減算、市販類似品の自己負担など~

11/14/2024

かかりつけ医機能 ニュース解説 医薬品 外来診療 患者 経営 地域医療構想

t f B! P L

 令和6年11月13日、財政制度等審議会の分科会である「財政制度分科会」が開催され、社会保障について議論された。2025年度政府予算編成に向けて財務省が提案する秋の建議に関する議論だ。昨年は、診療報酬改定もあったことから診療報酬改定に対する提案、とりわけ開業医に対する提言(新型コロナ補助金もあり、利益が相当出ているので診療報酬の引下げを提案など)が注目を集めた。

参照:財務省・秋の建議に向けた議論を開始。診療所・病院・薬局別に注目ポイントを確認します。

今回の注目点は「病院・診療所間と地域間の偏在」「患者負担の見直し」「毎年薬価改定の内容」の3点だと感じる。資料を基に注目したいポイントを押さえていきたい。

【お知らせ】医療政策ニュース解説ブログroute"hckn"の更新情報をBlueskyでお知らせします。よろしければ、フォローをお願いいたします。

病院・診療所間と地域間の偏在

近未来健康活躍社会戦略、そして新たな地域医療構想でも「医師偏在対策総合パッケージ」について言及され、本年12月は取りまとめが行われる予定だ。

参照:近未来健康活躍社会戦略で明らかにされた「医師偏在対策総合パッケージ」と「後発医薬品の産業構造改革」の方向性。そして、「保険外併用療養制度の見直し」
参照:外来医師多数区域に診療所数の上限を設定し、新規開業を許可制にすることを検討へ

分科会でもその議論を踏まえたものとなっているが、さらにもう一歩踏み込んで、診療科毎の医師偏在の基準作りを提言しているのがポイントだ。


もともと、外来医療計画を開始する際に、2025年以降に外来医師数だけではなく、診療科での偏在も検討することが示されていたように記憶している。診療科ごとの総量規制などになるかと思うが、その根拠をどう考えるか、非常に困難だろう。そこで出てきたのが「特定過剰サービス」というパワーワード。



地域の特定の診療科に係る医療サービスに関する客観的な基準を設定して、その基準に照らしあわせて過剰に医療サービスが提供されている場合を「特定過剰サービス」として診療報酬で減算することなどを提案している。基準をどう考えるかがポイントだが...。

また、外来診療に関してはリフィル処方箋に関する目標値の設定も提言されていることに注視したい。個人的には、医療費抑制・患者の負担軽減の観点だけではなく、医師の負担軽減にもつながるメリットがあると感じているが、対象となる患者選びは慎重にする必要がある。

参照:連携に関する診療報酬項目・リフィル処方箋で医療依存度の高い患者と医療従事者本人のための時間を創出する


入院医療については、新たな地域医療構想に向けた提案が中心。更なる病床削減、一定の協力を持たせるための知事の権限強化などの提案が続く。



患者負担の見直し

一般紙などでも報道にあったが、後期高齢者の自己負担の見直し(現役並み所得の判定基準の見直し)、高額療養費における患者負担の見直し(保険者の負担軽減の意味合いもある)など盛り込まれている。



そして、本年10月から始まっている長期収載品の選定療養に連動してか、バイオシミラーを対象に加えることも提案されている。


本年9月にバイオシミラーの使用促進に関するロードマップが公表されていること、今後の後発医薬品使用促進の目標として金額ベースの目標が設定されていることを合わせて考えて読み解く必要がある。

参照:高額療養費制度が救うもの、阻害するもの
参照:安定供給を基本とした後発医薬品とバイオシミラー使用促進の新たなロードマップが策定・公表される

なお、市販類似品に対する患者負担割合の見直し・選定療養の利活用なども引き続き提案されているが、骨太方針にも記載があることから、次回改定での注目点になるだろう。


薬価改定

毎年の薬価改定については、いわゆる中間年改定においてもすべての医薬品を対象とすることを提案している。



他に介護分野、少子化対策についてもまとめられているが、ここでは医療に関するもので注目すべきポイントのみを紹介している。

医師偏在対策総合パッケージ、かかりつけ医機能報告制度、新たな地医療構想など、病院と診療所間、地域間の偏在等の解消が大きなテーマになってきている。規制的手法の是非はあるが、財源と健康のバランスをとりながら、難病や障害をお持ちの方をしっかり支えていくか、議論は尽きない。

本日の社会保障関連ニュース

本日の病院関連ニュース

本日の診療所関連ニュース

本日の調剤関連ニュース

お問い合わせ

名前

メール *

メッセージ *

QooQ