デジタル庁を新設し、マイナンバーカードを用いた行政手続きの簡素化を推進するなど、国としてデジタル化の取組が積極的に取り組まれている。オンライン資格確認は、その推進役として期待されているものの、あまり大きな進展があるとは言い難い状況だ。
令和4年度診療報酬改定では、医科・歯科・薬局においてオンライン資格確認による確認と診療への利活用を評価する項目ができている。国としても、積極的に推進していきたい意識の表れともいえる。しかしながら、診療報酬て評価されるということは、患者の負担が上がることになることを忘れていけない。患者に対して、診療報酬相当のメリットが必要だ。
また、もし災害が起きて従来治療を受けていた医療機関が被災し、患者情報が焼失するなどした場合、治療の継続が困難となってしまう。そこで、オンライン資格確認を利用していれば他の医療機関で患者情報を閲覧し、治療を継続できる。他にも転勤が多い勤労世代にとっても転勤先で治療を継続するなどでも便利に使える。
そして、地域医療連携に情報共有というメリットもあるが、こちらは注意が必要だと感じている。本ブログの記事「かかりつけ医に3つの定義。診療報酬での評価は?」でもお伝えしたが、患者には自己情報コントロール権もあり、知られたくない情報や知ってほしくない人もいる(オプトアウト)。患者情報を含む資料や診療記録等は、患者の日記のようなものだと私は思う。日記の中身は患者のもので、日記というモノは医療機関等が厳重に管理するもの。日記を好んで人に見せることはないと考えればなんとなくイメージが湧くだろうか。
2023年1月には電子処方箋の導入も始まることが予定されており、マイナンバーカードと電子処方箋を紐づけることとなる予定であることから、診療報酬のためというよりも、今後の患者にとっての利便性を高めるためという目的で前向きに検討をしたい。