オンライン診療を含めた遠隔医療の推進に関する新たな議論が、社会保障審議会医療部会(第87回、令和4年3月28日)にてスタートした。もともとは令和3年6月に閣議決定された規制改⾰実施計画への対応で、2022年度中にその方針をまとめることとなる。
ところで、一般的に遠隔医療には次の4種類がある。
まず一つ目は「遠隔相談」。かかりつけ医等日常的に診ている医師と遠隔地にある医療機関の専門医が撮影した検査画像などを用いて症例検討を行い、専門医がかかりつけ医等にアドバイスるもの。
二つ目は「遠隔画像診断」。放射線画像を電磁的方法などで専門医に送信し、診断してもらうもの。
三つ目は「遠隔病理診断」。体組織の画像、顕微鏡の映像を電磁的方法で送信し、リアルタイムで専門医による判断をもらうもの。手術中などにも行われる。
四つ目は「オンライン診療」。いわゆる情報通信機器を用いたリアルタイム診療。基本的なスタンスとしては、対面診療報補助的ものであり、病状が安定していると医師が判断した患者が対象になる。
遠隔医療にもこのように種類があるが、やはり焦点は四つ目の「オンライン診療」になる。
令和4年度診療報酬改定では、リフィル処方箋の導入も決まっていることも考えると、オンライン診療のさらなる普及は、対面診療の機会が減る可能性を意味する。患者にとっては身体的にも、経済的にも負担が減る一方で、重症化のリスクが懸念される。また、処方する医師としても処方の切替のタイミングなどが難しく、重症化の兆しの発見も同様に難しくなる。オンライン診療、リフィル処方箋のみの診療継続にはやはり限界があると思われるので、必要に応じた対面診療は患者・医師双方にとって必要になる。
またその一方で意識しておきたいのは、患者は医療機関ではなく、自宅や施設で受診することになることだ。そう考えると、わざわざ医療機関の門前薬局まで来て医薬品を受け取ることは限りなく減る。街中にあるドラッグストア併設薬局などで日用品を購入して、そのまま医薬品を受け取って帰る、というのが主力になっていくことも考えられる。
医師は対面する機会は減るが、薬局薬剤師はそれほど対面する機会は減らないことを考えると、薬局薬剤師を通じた症状等の確認や受診勧奨は重要になってくる。薬局での血糖検査や血圧検査などの実施と薬剤師によるアセスメントなどこれからますます期待されるところだろう。
遠隔医療の進展は、医師と患者の距離を埋める薬局薬剤師の資質向上も重要だ。