COVID-19感染拡大に伴い、かかりつけ医の必要性が盛り上がりました。ところで、このかかりつけ医については、大きく3つの定義・考え方があるといえます。
〇診療報酬上で評価される「かかりつけ医」機能
「機能強化加算」を算定する医療機関(200床未満の病院、診療所)
〇オンライン診療の指針における初診からオンライン診療が実施できる「かかりつけ医」
日頃より直接の対面診療を重ねている等、患者と直接的な関係が既に存在する医師
〇新経済・財政再生計画改革工程表2021で検討が指示された「かかりつけ医」
第8次医療計画等に関する検討会にて、2022年度中に明確化する方針
定義は様々ですが、共通して言えることとしては、患者との長期的な関係を築き、疾患の現状維持・重症化予防に務め、一日でも長く同じ医療機関に通い続けてもらう、ということだと思います。人口減少が進むことを考えて今後の経営を見通すと、今通院している患者が一日でも長く通い続けること、すなわち、重症化予防に努める事こそが最大の経営戦略だともいえます。
診療報酬でのかかりつけ医機能と専門医機能の関係性 |
ところで先日、とある講演会でこんな質問をいただきました。
「患者一人に対して複数のかかりつけ医がいてもよいのではないでしょうか?患者情報は複数の医療機関で保有しておいた方が便利ではないでしょうか?」
私なりの考えになりますが、私は次のように回答いたしました。
「患者にとっては、心許せる人にはいろいろとお話しできるけど、相性が悪い方とか交換を持てない方にはあまり話したくないこともあると思います。特に病気のことは最もプライバシーとセキュリティレベルが高い情報です。患者を主役に考えてみると、患者にとっての自己情報コントロール権のようなものを発揮しているとも言えます。ちなみに、私も持病があって、定期的にかかりつけ医の所へ定期的に通っていますが、『A1cがよくなっていますね。がんばってますね!』とほめてもらうのがうれしくて、またがんばろうという気になります。重症化予防って特別なことではなくて、こういうことなんだと思います。直接ほめてもらうのがうれしいので、私はオンライン診療も利用しません。ところで、情報の利便性についてはオンライン資格確認の普及が解決してくれると期待しています。」