令和6年10月より始まる後発医薬品のある長期収載品の選定療養(参照:長期収載品の処方等に係る選定療養費の費用の計算方法とマスタが公表。公費負担医療の患者も選定療養の対象に)。あくまでも私が体感している範囲内のことだが、医療機関においては具体的な対策などはこれから、というところが多い印象だ。ただ、院内処方を行う医療機関などでは意識的に後発医薬品を採用品に入れるところや、院外処方を行う医療機関でレセプトが高額になるものについては一般名処方を意識して選択するという対応もみられる。
その一方で、薬局では入念に準備しているところがやや目立つ。例えば、10月からの開始に向けて、事前に患者に意向を確認したり、AGについて説明をして不安感を今から払しょくしてもらうことなどに取組むなど。こうした取組は、令和6年度調剤報酬より新設された「特定薬剤管理指導加算3 ロ」の算定にもつながる。なお、「特定薬剤管理指導加算3 ロ」は長期収載品の選定療養に関する説明をすることを評価するものだが、制度がスタートする令和6年10月1日以前からの算定も構わないことになっている。制度開始の事前準備という意味合いもあるといえる。
これから準備するという医療機関が多いと思われるが、こうした薬局の事前周知のような取組みはしておきたいところ。厚生労働省の「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について」では院内に掲示するポスターや案内チラシも掲載されているので、積極的に使っていきたいところだ。
他に医療機関で備えておきたいこととしては、患者からの要望への対応方針を明確にすることも必要だ。保険者からは、定期的に後発医薬品に切り替えることで経済的負担が軽くなるなどのメリットを伝える案内が定期的に届いている。おそらく今後はリフィル処方箋についても患者側に利用を促すような案内もあるだろう。すなわち、これからは医師の要望や考えだけではなく、患者側からの要望があることを前提に対応方針を決めておく必要があるということだ。処方箋様式の見直しは、そうした患者側からの行動変容が起きることを見越しているのではないかと思われる。