厚生労働省のウェブサイトにある「保険医療機関・薬局におけるオンライン請求等」にて、本年10月からの「返戻再請求のオンライン化についてのご案内」に関する事務連絡が掲載されている。令和5年4月よりオンライン請求に対応する医療機関・薬局については、オンラインによる返戻再請求となっているが、例外としてシステム改修が完了していないなどのやむを得ない事情がある場合は令和6年9月末までは紙による返戻再請求が可能となっていたところ、その経過措置の期限を迎えることに伴う事務連絡だ。なお、オンラインによる原請求を実施していない医療機関・薬局に対する紙で送付される返戻レセプトについては、引き続き紙での返戻再請求となる。
オンライン請求及び返戻・返戻再請求の推進は、審査支払機関の業務効率化とともに、請求の適正化を実現することにつながる。審査支払機関については「審査支払機能に関する改革工程表」に基づき、2026年度からの支払基金・国保連によるコンピュータチェックのロジック、振り分けチェックのAIエンジンなどの審査・支払領域の共同利用を目指して取組が進められている(参照:規制改革推進に関する答申案を読む② ~審査支払機関の改革とレセプトチェックの標準化~)。
なお、支払基金では2021年よりレセプト審査にAIが導入されている。審査業務の効率化として、コンピュータチェックで完結できるものの目視が必要なものを「振り分ける」ことをAIが担っている。審査に活用しているわけではなく、あくまでも人の負担を減らす、ということが目的だ。また、いわゆる「ローカルルール」の解消につながり、全国で審査の標準化も実現できる。
オンライン請求、そして審査支払機関におけるAIの活用が進むことで、レセプト作成にかける時間や返戻の誤りが減り、その結果として診療及び請求の適正化の実現が期待される。そして、マイナ保険証の利活用がその基盤となり、適正化を実現するための速度を上げることになる。
マイナ保険証の利活用、オンライン請求及び返戻再請求への対応は、国民一人ひとりが直接取り組める社会保障改革そのものだといえる。