私だけかもしれないが、この4月以降、処方に関する査定が増えている、といった声を耳にする機会が増えた。なんとなくだが、効能追加となった医薬品に多いが気がするが、それはたまたまなのかもしれない。その原因の一つとして、審査支払機関の改革の一つ「審査結果の不合理な差異の解消に関する取組」に思い当たる。
審査支払機関の改革はこれまでの規制改革推進においても取り上げられ、取組が推進されてきた。例えば、2019年5月には社会保険診療報酬支払基金法が改正され、各都道府県の支部を廃止、支部の有する権限を本部に集約する こととするとともに、2020 年3月には「審査事務集約化計画工程表」が策定、そして2021年3月に国保中央会等の審査支払機能の整合的かつ効率的な在り方に関する「審査支払機能に関する改革工程表」が取りまとめられ、レセプト事務点検業務について、2022年 10 月に、その実施場所を 審査事務センター(分室)に集約することとなっている。
雇用流動性の高まりもあり、被用者保険と国民健康保険の間を行き来することがこれからさらに増えてくることも考えられるし、ワーケーションも含めて働く場所や居住地の変化も多様となることが考えられ、医療を受ける場も動くことが考えられる。しかしながら、これまで審査に関しては支部ごとに対応が異なるなどのいわゆる「ローカルルール」が問題視されてきていた。それを「審査結果の不合理な差異」として、その解消に努めるべく取組を開始し、現在は、コンピュータチェックや審査基準の統一を取組んでいるところ。審支払基金では全国で約 33,000、国保連では全国で約18,000ある各都道府県の審査基準について、2022年10月までに各機関でその重複や整合性の整理を行い、2024年4月までに各機関で審査基準を全国統一するための検討を一巡させる。統一完了までに要する期間は2022年10月までに改めて確定することとしている。そして、その2年となる2023年にはAIによるレセプト審査で9割を完結できることを目指すこととしている。なお、支払基金ではコンピュータチェックの対象事例など公表されている(コンピュータチェック対象事例)。国保連のシステム更新は2024年を予定。
そして今後、データをどう活用するか、というフェーズに入ろうとしている。そのためにも、データの精緻化や個人情報保護法の見直しなど、まだ取り組むべきことは多々ある。