2022年5月27日公表された規制改革推進に関する答申案について、話題になっている。とりわけ大きく報道されているのが「薬剤師による看護業務」と「オンライン診療の拡充」といえる。
他にも、電子処方箋に関すること、審査支払機関の審査業務改革など注目すべき点がある。
医療機関への影響度を踏まえ、個人的に注目している「医療従事者のタスクシフト」と「審査支払機関の改革」の2点についてみていきたい。
薬剤師の看護業務については、在宅介護・医療の場面を想定したもの。今回の議論の背景には世界的に見て日本の薬剤師数の多さが指摘されていることにあると考えられる。
給与水準や勤務形態などの処遇の観点から、病院勤務・配置はまだまだ少ないといえるので、診療報酬上の評価をもっと見直してほしい所はあるが、総数としては多い。そこで、薬局機能を門前から街中へシフトするべく、かかりつけ機能を強化することを目指したのが2015年の「患者のための薬局ビジョン」だった。調剤薬局という表現から薬局に言い直されたその理由を改めて考えたい(改めて読み返し、基本姿勢に立ち返るための「患者のための薬局ビジョン」)。今回の答申では、地域においてマンパワーがあり、かかりつけ機能をこれから発揮していくであろう薬剤師への期待の表れと受け取りたいところだ。ところで、こうした医療従事者のタスクシフトに関する話題を見るたびに思い出すのが「共通基礎課程」のこと。「共通基礎課程」とは2021年度からの実施を目標として、医療・福祉系の資格取得にあたっての基礎教育部分を共通化して、他の資格取得の時間を短縮化し、地域包括ケアシステムに資する人材を早期に拡充していくもの(全国厚生労働関係部局長会議資料(平成30年1月18日)より)。
例えば、准看護師から他の国家資格へのシフトチェンジの早期化。看護の知識を持った社会福祉士など、地域医療連携室ではとても重要だ。なお、フィンランドでは「ラフホイタヤ」という医療・福祉系の基礎資格があるという。マンパワーのある人材の対応領域拡充も確かに効果的だが、中長期的に見れば、キャリア開発や職業選択の自由、地域のニーズへの迅速な対応を実現するには基礎教育の在り方の見直しと柔軟性が重要で、時間もかかる。時間がかかることほど、早くを手を付けていかなければならないことは、地域医療構想や新興感染症対策でよくわかっている。共通基礎課程についても改めて早期に取組むことを期待したい。