薬局・薬局薬剤師のかかりつけ機能を発揮するための機能と役割を再定義。健康サポート薬局のこれからにも注目を

8/25/2024

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 令和6年8月21日、厚生労働省にて第8回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会が開催された。検討会名の文字通り、薬局及び薬局薬剤師の機能、具体的には「かかりつけ機能」を発揮してもらうための環境整備が目的だ。9月中に「地域における薬局・薬剤師のあり方」の議論のとりまとめを、10月中に「離島・へき地等における薬剤提供(在宅医療における薬剤提供含む)のあり方」の議論の取りまとめをおこなう予定で現在検討がすすんでいるところ。今回紹介するのは、「地域における薬局・薬剤師のあり方」のとりまとめに向けた議論。について。

〇認定薬局の現状

認定薬局とは、令和3(2021)年からスタートしている都道府県知事が認定する特定の機能を有する薬局への認定制度のこと。地域内の医療機関や薬局との連携を通じてかかりつけ機能を発揮する「地域連携薬局」とがん等の専門的な薬学管理が必要な患者に対して連携を通じてフォローする「専門医療機関連携薬局」の2つだ。


認定されている薬局は制度開始以来増加の傾向にある。しかしながら、認定薬局に対する経済的なインセンティブ(調剤報酬上のメリット)はない。調剤報酬における地域支援体制加算の要件とやや近いこと、今回から新設された在宅薬学総合体制加算2(無菌室を備えていることが要件にある)など、実績要件を満たしていれば間接的には評価され、メリットがあると考えられる。


検討会では、地域における薬局機能と薬局薬剤師に期待される役割の考え方が整理されたところ。具体的に「医療関係者等との連携による地域の住民の薬物治療(外来・在宅医療)の提供」、「セルフケア・セルフメディケーションの推進など、地域住民の健康維持・増進の取組等の支援」、「医薬品の適正使用の推進など公衆衛生の向上・増進」、「薬剤師の資質向上」 等の必要性が示されている。

こうした大きな方向性の中で、地域連携薬局に期待される役割としては、入退院時・在宅医療提供時の連携の際の一元管理の機能、時間外の対応といったもの。この時間外対応には、輪番制や救急医療体制への参画なども期待されている。そして大事なことは、地域連携薬局にすべてを任せて負担だけが重くならないためにも、近隣の薬局が全体で連携に参加することの必要性を訴えていること。地域連携薬局とは、地域医療支援病院の薬局版のようなものとも言ってよいかもしれない。


本年7月に地域におけるポリファーマシー対策に関する進め方の手順書が公表されたところ(参照:院内でのポリファーマシー対策は院内の専門医療チームとの連携で効率的に。地域では地域ポリファーマシーコディネーターを定め、患者個別に薬剤調整支援者による対応を)。また、第4期医療費適正化計画では、地域フォーミュラリなどを手段の一つとした後発医薬品の使用促進を進める方針(参照:後発医薬品使用促進策に関する金額ベース65%という新たな目標。その意味と今後の対応。)であることから、地域連携薬局にはそうした取り組みの旗振り役が期待されることになるだろう。

〇健康サポート薬局の在り方について

健康サポート薬局とは「かかりつけ薬剤師・薬局の基本的な機能に加え、国民による主体的な健康の保持増進を積極的に支援する(健康サポート)機能を備えた薬局」のこと。必要な要件を満たしている薬局が都道府県知事に届出をして健康サポート薬局と表示ができる。現在(2024年3月時点)3,195件の届出がある。


健康サポート薬局は、地域連携薬局の機能に健康増進に資する相談機能や予防に関する対応ができるものといえる。健康サポート薬局はもともとは、地域の中での身近な健康相談ができる「健康情報拠点薬局」が発想の原点にある。ゆえに、地域連携薬局よりもカバーする範囲が広い。しかしながら、こちらも経済的なインセンティブはない(調剤報酬上での間接的な評価はある)のが課題であり、地域連携薬局との違いが分かりにくい。そこで、今回の検討会ではこの健康サポート薬局の役割や法的な位置づけについて明確化することが議論されている。


病気になる前に保険薬局に行く理由はほぼない。そこで、健康サポート薬局は本来期待されていた健康情報拠点の役割を発揮し、地域住民に対しての情報発信機能・健康相談機能への対応がポイントになる。そこで、OTCの扱い・提案が重要になる。厚生労働省からは、薬剤自己負担の見直しの一つとして、市販類似品の保険給付の見直しが挙げられている。骨太方針にもそうした記載があったところ(参照:骨太の方針2024(原案)を読む)。健康サポート薬局には、受診前のOTCの提案なども通じて、受診抑制と外来医師の負担軽減(軽症者の受診を減らし、医療の必要度の高い患者に時間を割けるようにする)への貢献なども期待されるところだろう。


患者のための薬局ビジョンでは、令和7(2025)年までにすべての薬局にかかりつけ機能を、という中間目標が設定され、最終ゴールとなる令和18(2035)年には立地も含めて地域へ、という目標を目指している(参照:改めて読み返し、基本姿勢に立ち返るための「患者のための薬局ビジョン」)。ただ、最終ゴールの地域も含めて地域へ、というのは立地は門前でありながらも、情報通信機器や在宅訪問機能を有することや配送機能も有することで、立地はそのままでも構わないと考える(参照:令和6年度診療報酬(調剤報酬)改定と患者のための薬局ビジョンを確認する)。ただし、それらの機能を発揮するには一店舗当たりの規模を拡大するか、役割分担・連携を通じた体制を地域をあげて作っていくことが求められる。しかしながら、薬局のほとんどは一般企業。地域貢献や連携に対する調剤報酬上の評価など今後どうなっていくのか注視していきたい。

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