地域ごとに急性期機能の集約化を。診療所医師の高齢化等にも目を向けて、地域で必要な外来医療提供体制の整備を図る。

10/19/2024

かかりつけ医機能 がん 急性期 経営 地域医療構想 地域包括ケアシステム 入院医療

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 令和6年10月17日、第10回新たな地域医療構想等に関する検討会が開催された。今回の検討会では、病床機能報告とは別に新たに設定される医療機関機能報告に関する議論と外来医療の在り方を地域医療構想にどのように盛り込んでいくべきか、検討されている。

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地域の実情に合わせて急性期を絞り込み。大学病院本院は広域に医療提供を。

新たな地域医療構想では、従来の病床機能報告を見直すと同時に、医療機関の機能そのもののを報告することとなる。病床機能報告については、以前伝えたように回復期の定義の見直し、慢性期について在宅のバックアップ機能も踏まえた考え方を取り入れる方向で検討が進む。

参照:新たな地域医療構想での病床機能報告(回復期の定義の見直し)と在宅を踏まえた新たな構想区域のイメージが示される

今回の議論では、医療機関機能報告の考え方について議論されている。まず、医療機関機能報告についてだが、構想区域など地域ごとに整備する機能として現時点では4つで区分する方針となっている。「高齢者救急の受け皿となり、地域への復帰を目指す機能」・「在宅医療を提供し、地域の生活を支える機能」・「救急医療等の急性期の医療を広く提供する機能」「その他の機能(専門医療機関や回復期リハビリテーションなど)」、以上の4つだ。ただし、「その他の機能」については、地域で必ず設置しなければならないというものではなく、近隣の構想区域等との連携などで構わないとされている。




また、医療機関機能報告では構想区域を超えて広域な観点で機能を整備していくこととなっている。広域の観点では「医師の派遣機能」・「医育機能」・「より広域な観点で診療を担う機能」の3つだ。

急性期機能と広域な医療提供といえば、真っ先に思い浮かぶのは大学病院だろう。今回の議論においては、大学病院本院については三次救急や難病医療などの専門性の高い医療や地域の医療機関への医師派遣機能、医師の養成などがあることから、「医育及び広域診療機能」を担うものとして位置付ける方針だ。そのうえで「救急医療等の急性期の医療を広く提供する機能」を日常から発揮しつつ、医師の派遣機能等に関する取り組みとその実績などを報告を求めることとなる。

なお、今回の議論では都道府県と大学病院との連携状況について課題がある(連携状況について地域によってばらつきがある)ことも明らかにされている。都道府県と大学病院の連携強化を通じて、医師の派遣機能の強化・充実をどのように図っていくかも重要な視点だ。




地域ごとに整備すべき医療機関機能では、やはり注目されるのは急性期機能になる。持続可能な働き方や医療の質を求めるべく、一定の症例数を求めると同時に、人員の確保も重要だ。そのため、医療機関を分散させるのではなく、急性期においては集約を推進していくことがポイントになる。



考えられることとしては、高度急性期の実績が求められる急性期充実体制加算及び総合入院体制加算の届出の有無などだろう。後者では、産科・小児科の標榜がなくても地域医療構想調整会議での合意があれば届出ができる、といった要件もある。これは、構想区域内で限られた医療機能の集約化を阻害せず、高度急性期の実績がある医療機関の経営を支援する性格のもの。また、地域医療体制確保加算なども求められるところだろう。また、地域の実情をしっかり踏まえていくことも忘れてはならない。地域の医療需要の推移なども機能分化を適正に続けていく上では必要な指標として、モニタリングを継続していくことが必要だ。




ただ、こうして急性期機能の集約を進めることで気を付けておきたいのが、地域内での一強体制化だ。地域医療連携推進法人のような横の連携がうまく構築できるような診療報酬の設計、例えば「二次性骨折予防継続管理料」や「がん治療連携管理」・「がん治療連携指導料」といった横の連携を評価する項目などもっと必要になってくるのではないだろうか。

高齢化に伴い、医療から介護へと需要は移る。精緻に需要を把握し地域の外来医療の確保を

新たな地域医療構想では外来・在宅医療も含めて策定をしていく。今回の議論では、開業医の高齢化に伴う問題(診療所がない地域が増える)、診療科の偏在(内科以外の診療科がない地域がある)に伴う衝撃的な事実が示されている。



来年度から始まる「かかりつけ医機能報告制度」、そしてすでに始まっている「紹介受診重点医療機関」による役割分担と連携に期待が寄せられた内容の考え方が示されたといえる。


私はここ最近も、いろんな地域(新潟、島根、鳥取、岡山、兵庫など)の医療提供状況をデータで見て、直接現地でも見ているが、地方都市で特に強く感じるのが、開業医の高齢化による在宅医療の提供体制の今後の懸念だ。今回の議論でも地域によっては200床未満の病院で訪問診療をある程度になっていくことが必要になってきていることがわかる。医療資源の集約化は急性期だけでなく、在宅医療の資源、特に訪問看護師や管理栄養士などによる近隣のかかりつけ医に対する支援機能を発揮するための集約の考え方を確立することが必要だと感じる。


回復期の新たな定義、急性期の集約化と広域対応、外来と在宅の環境整備、そしてこの後は精神科領域をどう取り込んでいくかがnext地域医療構想のテーマとなる。2027年度以降の地域医療構想調整会議は地域医療・福祉のコントロールタワーのようになるが、今後はそのコントロールタワーでどういった人員が職責を担い、都道府県知事の権限をどのように発揮していくかにも注目が集まる。

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