令和6年9月30日、第9回新たな地域医療構想等に関する検討会が開催された。テーマは大きく3つ。病床機能及び医療機能の考え方・精神科領域の位置づけ・医師偏在対策。ここでは、病床機能報告及び医療機能の考え方と精神科領域の位置づけについて解説する。
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病床機能の新たな考え方
現行の病床機能報告では、高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4つ区分となっている。しかし、この中で「回復期」の位置づけがややわかりにくくなっている。診療報酬の考え方で行けば、回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病床、今年度新設された地域包括医療病棟なども該当する。また、地域一般入院料(13:1、15:1)も該当する。
なかでも、回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病床は類似する疾患の対応もあるが、病棟機能の違いでリハビリテーションの目的や内容も若干異なり、平均在院日数にも差がある。
急性期後の集中的・専門的なリハビリを主に提供する回復期リハビリテーション病棟と高齢者の急性期疾患にも対応し速やかな在宅復帰に向けた地域包括ケア病床。2040年に向けていずれも必要な機能であることでもあり、地域の実状によっては併せ持つことも必要になってくる。そこで、急性期と回復期をミックスした新たな名称・定義を設ける方針となった。なお、急性期後以外のリハビリテーションについては外来・在宅の場も含めた提供の場を検討する見通しだ。
慢性期・在宅医療を踏まえた新たな構想区域の考え方
病床機能報告にある慢性期についても検討されている。新たな地域医療構想では、外来・在宅まで含めたものとなることから、療養病床だけでなく、在宅医療や介護施設等とあわせて、構築していく必要があるとの考えにのとって検討されている。慢性期に対しては、緊急時の対応も含めた連携体制の構築・情報共有等を通じて、肺炎や尿路感染症、心不全や脱水等、適切な管理によって状態悪化を防ぐとともに、必要時には円滑な入院につなげるための対応力の強化が求められることとなる。そこで、より地域に接近した新たな構想区域の考え方が示されている。
また、在宅医療体制についても考え方が示されている。二次医療圏にこだわらず、市町村単位や保健所圏域単位など地域の実状にあわせて柔軟に対応できるように考えられている。
各地域で在宅医療体制を強化していくために、D to P with Nのオンライン診療等のICT活用による効率化や、在宅医療を行っている医療機関の対応力強化、これまで在宅医療を行っていない医療機関の参入促進、多数の訪問患者に在宅医療を提供する医療機関との連携、訪問看護事業所の機能強化等による供給力強化などの必要性が述べられている。なお、医療資源が限られている人口規模の小さい地域においては、移動時間や担い手不足等の課題も踏まえ、高齢者の集住等のまちづくりの取組とあわせて、D to P with Nのオンライン診療の活用の徹底も含め、在宅医療提供体制を構築していく必要についても言及されている。令和6年度診療報酬改定では地域医療情報連携ネットワークに対する評価や看護師等遠隔診療補助加算(D to P with N)の新設があった。新たな地域医療構想に向けた環境整備の一環として取組を進めておきたい。
参照:地域医療情報連携NWと全国医療情報プラットフォームの関係性と併存の必要性
精神科領域を新たな地域医療構想でどのように位置づけるか?
精神科領域については、これまでは精神障害者の地域医包括ケアシステムの構築として進めされてきていたところ。
参照:精神科領域の地域医療構想と地域包括ケアシステムの考え方