令和8年度診療報酬改定率が決まる。看護補助者や事務職員も賃上げの対象に。外来過多区域での知事からの要請に従わない新規開業には、診療報酬上の減算措置を講じることに
令和7年12月24日、令和8年度診療報酬改定率とその内訳が決まった。12月19日の総理の裁定で決まった本体部分+3.09%の内訳が明らかになった。なお、改定率は2年間の平均(令和8年度は+2.41%、令和9年度は+3.77%)。物価等の状況によっては、来年度臨時改定もありうるとのことだ。
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処遇改善を幅広く。その一方で、長期処方・リフィル処方の取組強化を明記
今回の改定率の内訳・ポイントを簡潔に確認していこう。
賃上げ分:1.7 %
・医療現場の生産性向上の取り組みの他、看護補助者と事務職員に対しては、他産業との人 材獲得競争に直面していることも踏まえた上乗せ措置を講じることに。
物価高分:0.76%
・令和8年度以降の物価上昇への対応としては、診療報酬に特別な項目を設定する。配分(令和8年度及び令和9年度の2年度平均)は、病院 +0.49%、医科診療所 +0.10%、歯科診療所 +0.02%、保険薬局 +0.01%だが、病院については機能に応じた配分とする。
・高度機能医療を担う病院(大学病院を含む。)については、汎用性が低く、価格競争原理の働きにくい医療機器等を調達する必要性があることから物価高の影響を受けやすいこと等を踏まえ、物価対応本格導入時の特例的な対応として措置する。
食費・光熱水費分:+0.09%
・入院時の食費基準額の引上げ(40 円/食)(患者負担については、原則 40 円/食、低所得者については所得区分等に応じて 20 円~30 円/食)及び光熱水費基準額の引上げ(60 円/日)(患者負担については、原則 60 円/日、指定難病患者等については据え置き)。
令和6年度診療報酬改定以降の経営環境の悪化を踏まえた緊急対応分:+0.44%
・配分は次の通り。病院 +0.40%、医科診療所 +0.02%、歯科診療所 +0.01%、保険薬局 +0.01%
後発医薬品への置換えの進展を踏まえた処方や調剤に係る評価の適正化、実態を踏まえた在宅医療・訪問看護関係の評価の適正化、長期処方・リフィル処方の取組強化等による効率化 :▲0.15%
その他、改定分:+0.25%
・各科改定率 医科 +0.28%、歯科 +0.31%、調剤 +0.08%
関連事項として、医師偏在対策への対応として、以下の事項も盛り込まれている点に注目をしたい。
・外来医師過多区域において無床診療所の新規開業者が都道府県知事からの要請に従わない場合には、診療報酬上の減算措置を講じる。
・医師多数区域での診療報酬上での更なるディスインセンティブ措置の在り方や、重点医師偏在対策支援区域における医師手当事業に関する診療報酬での財源確保の在り方については、令和 10 年度診療報酬改定において結論を得る。
以下に資料全文を掲載する。