入院時の食事と入院時生活療養費の基準額をそれぞれ40円・60円引上げへ。専従要件の範囲の見直しなど届出・算定方法の明確化を
令和7年12月3日、第632回中央社会保険医療協議会 総会が開催されている。薬価改定に関する議論が注目を集めている一方で、令和8年度診療報酬改定に向けた届出や算定方法の明確化、入院食事療養費・生活療養費に関する議論が行われている。今回の議論において、厚生労働省から入院時の食費の基準額を40円引き上げること、入院時生活療養費の基準額(総額)を60円引き上げることが提案され、今後社会保障審議会 医療保険部会にて詳細を議論していくことになる方針だ。
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働き方改革や人材確保の観点から、専従要件の範囲の見直しが行われる
疾患別リハビリテーション料などにおいて、専従要件の見直しに関する議論が注目を集めていたが、その他の専従要件の範囲の見直しについて具体的な項目を確認しながらの議論となっている。
厚生労働省からは、医療安全対策加算や感染対策向上加算の専従者において、加算に係る業務のない時間に実施可能な業務が示されていないことから、他施設への助言業務に関する規定を参考に、月のうち一定の時間までは院内で他の業務に従事可能とすることについての議論と地域包括ケア病棟等における、専従の理学療法士等は、入院患者の退院支援等に係る業務であれば院外での活動に従事できることを明確化することについての議論が要請された。
近年の診療報酬改定では、地域の基幹病院が近隣の医療機関とのカンファレンスや研修の実施を通じて、地域全体の医療レベルの底上げを行うことや基幹病院からの転院・退院後の連携を円滑にすることを目的の一つとした連携や専門領域の知見の共有が評価されるようになってきている。病院単独の取組(縦の連携)と疾患・領域別の地域連携(横の連携)とも言える。人材を地域の貴重な資源と考えた見直しといえ、横の連携につながる様々な評価も増えてくることだろう。
参照:地域医療連携推進法人に対する横連携型の診療報酬とは? ~術前から退院、経過観察までの一連の治療を包括支払い~
その他、以下のような議論が行われている。
・保険医療機関が移転・再編等を行う場合における経営上の予見性の確保や、個別事例に応じた遡及指定の柔軟な取扱いを可能にするための見直し。
・一つの病棟で届け出ることのできる特定入院料(病室単位の届出を含む)の範囲及び個数を明確化することについて
・病棟内の異なる入院料を算定する病床に入院する患者は、原則として在宅復帰率や平均在院日数の計算の対象外であることを明確化することについて
・常勤職員の配置要件として、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律に合わせて、週4日以上勤務かつ所定労働時間が週31時間以上とすること
・健診等受診後に、健診等と関連する疾病について、同日に1回の受診で保険診療を実施する場合、現行の初診料の取扱いと同様に、再診料等は算定できないことを明確化すること。また、同じく健診等受診後に、健診等と関連する疾病について、同日別受診又は翌日以降に保険診療を実施する場合には、現行の保険診療における再診料の取扱いと同様に、再診料等を算定することを明確化すること
・プログラム医療機器等指導管理料が併算定できるニコチン依存症管理料や生活習慣病管理料(Ⅱ)は情報通信機器を用いた場合の規定があるが、プログラム医療機器等指導管理料には規定がないことから、新たに規定を設けることについて





