令和7年12月25日、内閣府にて第15回経済財政諮問会議が開催された。会議では、改革実行プログラム2025が公表されるとともに、これまでの取組の進捗状況について整理・公表されている。ここでは、医療領域に焦点をあててポイントを絞って確認したい。


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主な改革実行プログラムの進捗について確認。新たなKPIの設定も。

 本年5月にも進捗状況が公表されたが、情報がアップデートされている。設定されているKPI・目標と現状のギャップを埋めるには、診療報酬における評価の見直しや保険者努力支援制度の見直しがポイントなってくる。診療報酬改定の今後を見通すには、国が目指す方向性とKPIは何かを知り、そのうえで目標と現状のギャップを確認していくことで政策から逸脱しない経営が実現でき、中長期の経営ビジョンを描くことができると私は考えている。


参照:医療分野における改革実行プログラム2024の現在地、見通しを読む


 個人的に気になっているもののみだが、以下に整理してみた(掲載している図では赤のフォントの箇所がアップデートしたもの)。


・「糖尿病有病者の増加の抑制」の進捗は好調だが、「糖尿病の治療継続者の割合」は改善度合いが低い。 → 生活習慣病管理料で継続算定率など評価の可能性?


・医療設備・機器の共同利用計画の提出については目標を上回って進捗している。→ 2人主治医制やかかりつけ医機能において、高額医療機器などの共同利用を前提とした連携の評価など新設?


・リフィル処方箋に関するKPIが設定されている。→ 保険者による周知・啓発活動を評価するもの。診療報酬でも推進は検討されているが、保険者努力支援制度においても評価へ。


・地域連携薬局と健康サポート薬局の届出が減少。→ 調剤報酬での間接的な評価(地域支援体制加算の実績要件など)を見直す可能性。


・調剤後薬剤管理指導料1の実績が急伸。→ KPIを達成するために、前回の調剤報酬改定で加算から指導料に格上げし、インスリン投与中の患者だけではなく、経口薬を服用する患者も対象に加えた成果だといえる。


・在宅業務を実施する薬局のKPIが未達。→ 在宅薬学総合管理加算の要件を見直すことなど考えられる。


・医薬品の安定供給に関連して、「頻繁な価格交渉の改善」のKPIが設定されるとともに、「単品単価交渉の割合」の実績値が今後公表されることとなった。→ 未妥結減算の届出や要件の見直しが考えられる。過度な価格交渉などより一層の注意が必要。
















改革実行プログラム2025を確認する

 これまでの改革実行プログラムとの大きな違いはないが、見直しとなったもの、新たに追加されたもので気になるものを以下に列記し、資料を掲載する。


・標準型電子カルテについて、2027年度から本格提供を目指す。


・診療報酬改定DXについて、共有算定モジュールの提供を2026年度から実施・拡大する。


・新たな認定薬局制度、調剤業務の一部外部委託については2027年度を目指す。


・リフィル処方箋に関するKPIを今年度中に設定する。


・2026年度から医療現場・地域での高齢者のポリファーマシー対策をより一層推進する。


・先行バイオ医薬品の選定療養について、今年度中に結論を出す。


・地域フォーミュラリーについて、2026年度中に各地域で策定するための取組を行い、2027年度からは実際の取組を推進する。












 議論が進む診療報酬改定だが、あくまでも診療報酬改定は目的ではなく、政策を実現するための手段であり、医療機関の行った診療に対する評価・結果だ。国が掲げるビジョンと現状を照らし合わせてみることで、中長期的な診療報酬改定の動向は見えてくるものだ。日々のことに95%の意識を向け、残りの5%で今後のことを考えるくらいがちょうどよいのではないかと個人的に考える。