放射性医薬品を用いた核医学診療の環境整備で課題となっていた排水設備の合理的な運用に関する今後の対応方針について
令和8年7月24日、第129回社会保障審議会医療部会が開催され、医療関係職種の安定的な養成・確保と核医学診療ができる環境の拡充等を目的とした排水設備の合理的な運用について議論されている。ここでは、核医学診療ができる環境の拡充に焦点を当てて解説しよう。
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放射性医薬品を用いた核医学診療の広がり、その一方で課題も
本ブログでは、これまで放射性医薬品を用いた核医学診療として、放射線治療病室/特別措置病室のマネジメントについて紹介してきた。特に、特別措置病室については既存の病床(個室)を管理区域・一般病床と患者に合わせて運用することができることから、病院経営の面からも有用だ。
参照:特別措置病室の理解とマネジメントを考える(2026年 改訂版)
排水設備の合理的な運用について
今回の検討会では、令和8年7月8日に開催された第5回医療放射線の適正管理に関する検討会での検討結果をもとに議論されている。関心の検討結果は、病院からの総排水による希釈を考慮した放射性排液の管理について、放流を排水量の多い平日の日中に行うこと、希釈割合の算出については保守的な安全係数を用いること、排水管理の責任者を配置し、計算過程等の記録を残すこと、その記録が立入検査等で確認されること等を条件とすることで安全に放流することが可能との方向性が示されている。
厚生労働省 第129回社会保障審議会医療部会
国内で販売されている一部の放射性医薬品(68Ge/68Ga ジェネレータ剤)については、資源の有効活用等の観点から使用済ジェネレータ剤を製造業者に返却することが求められ
ている。治験薬等についても、品質管理等の観点から、品質不良品・未使用品の返却が求められているが、医療法の制度上、こうした場合の取扱いについての定めはないことも課題となっている。
法律の観点から改めて整理すると、医療機関でヒトに使用される放射性同位元素は、敷地を含む医療機関に搬入されるまではRI法又は薬機法の規制下で取り扱われることとなっているのだが、医療機関内では医療法の規制対象となっている。しかし、医療法上、使用済みの放射性同位元素等を廃棄以外の目的で、院外へ運び出すことは想定されていないために返却の取り扱いがないのが現状となっている。
先に紹介した第5回医療放射線の適正管理に関する検討会では、医療法の制度に返却対象やその相手が把握できるような規定を整備する等の所要の対応を行った上で、返却を可能とすることが適当との方向性が示されたところ。そこで、方向性に沿う形で、下記のケースに該当するRI法適用除外された放射性同位元素を医療機関から製造業者等に返却する場合の当該放射性同位元素の取扱いについて、返却対象やその相手が把握できるよう、必要な規定を整備する方針だ。
・使用済の放射性同位元素(例:68Ge/68Gaジェネレータ剤)
・治験薬等の品質不良を精査するための放射性同位元素
・治験薬等の未使用品で回収が必要な放射性同位元素 等
その他、毎年 12月20日までに、診療用放射線照射器具等を翌年に使用する予定数量を都道府県に届出るルールについて、予定数量のデータを多くの自治体において活用されていない実態が明らかになっていることや診療用RIの安全管理については医療法に基づく立入検査等で確認することが可能であることもあり、事務負担の軽減を図ることも目的に廃止する方針が明らかにされた。
核医学診療の環境整備がまた一歩、二歩と進められる。身近な医療機関で核医学診療を受けることができるようになることで、治療と就労の両立が実現できるようになり、患者本人だけではなく、看護する家族、そしてますます貴重になっていく労働力を確保できる事業主まで、社会全体の生産性向上に大きく貢献することが期待できる。