令和8年2月28日に開催された「第1回エコーナース実践研究会」にて、「エコー機購入に役立つ知恵と補助金の基礎知識」と題して講演を行いました。その講演内容のダイジェスト版をご紹介いたします。補助金の検討及び利活用に関しての参考になれば幸いです。


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そもそも補助金とは?

 補助金に似たものに助成金、給付金があります。給付金については、新型コロナ感染拡大時に各家庭に支給された給付金などがその代表で、緊急対応が必要な際に条件等関係なく一律に支給されるものです。補助金と助成金については、いずれも審査があり、後払いになっている点は共通ですが、少し違いがあります。補助金の場合は、審査の難易度が高く、審査を通過したあとも補助金の利活用の結果の報告が求められ、場合によっては不支給となることもあります。一方で、助成金の場合は求められる要求水準を満たしていればほぼ100%支給されるものです。雇用・採用に関するものが多いのが特徴ですが、こちらも審査があり、場合によっては不支給となることもあります。特に助成金については、最近、リスキリング目的の研修事業者による「実質無料!」などを売り文句に複雑なスキームによる提案で、結果として不正受給と判断されるケースもありますので、取引先に対する目利きも重要です。「実質無料」という文句やなぜかかかわる事業者が複数存在する提案などは注意が必要でしょう。



 なお、こうした補助金や助成金は国が主体となるものだけではなく、都道府県が主体となるもの、市区町村が主体となるものなど様々なパターンがあります。そこで、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する「J-Net21」というポータルサイトを利用して定期的に検索したり、掲載されているコラムなどを読んでみることをお勧めいたします(令和8年3月2日よりアップデートされていますので、貼り付けている画面と見た目が若干異なります)。コラムには、補助金活用のコツや申請にあたっての注意点などあり大変参考になります。




 補助金について、もう少し掘り下げて考えると、その財源は税金です。その貴重な税金を使ってでも補助するのは、国が進めたい政策の実現のため、といえます。医療や介護においては、医療DXの推進と生産性向上がまさに進めたい政策といえます。ですから、補助金を利用するということは、単に製品を購入することが目的ではなく、購入した製品を利用して、患者さんはもちろんのこと、利用者本人、そして一緒に働く仲間の負担軽減と生産性向上を実現していくという目的になります。






生産性向上を最大化するために業務効率化をする

 これまで医療の現場では、「人力」に頼って、何とか乗り切ってくることができたように感じることがあります。でも、それもいよいよ限界です。働き方の推進、高齢者割合の増加に伴う救急件数の増加などもあり、「人力」に頼らない仕組みを作ることが急務となっています。そこで、医療ICT機器や様々な医療機器の導入を促進することで、医療の質を維持しながら負担軽減と人員配置の柔軟化を実現しいくべく、補助金を積極的に利活用していくこととなっていると思います。ですから、今後の補助金の申請と利活用を考えていく上では、生産性向上の観点、すなわち、業務効率化を通じて生産性向上を最大化する、という観点が重要です。そのためには、これまでやってきたルーチン業務を棚卸して、やめる業務を明確にしたり、業務を一括りにしたり、時には担当者を変えて適正人材配置をすることも必要になります。何かを「やめる」ことで、新たな時間を創出するということです。





人時生産性という観点

 生産性向上をはかる尺度の一つとして、人時生産性(にんじせいさんせい)の観点を持つことが大切です。人時生産性とは、一般産業界などで使われている言葉ですが、医療業界に置き換えると、外来/病棟スタッフ一人が1時間のうちにどれだけ患者にケアを提供しているか、と私は置き換えて指標化しています。



 まずは、現状を把握すること。そのあと、定期的にこの数値を継続的に測定しながら、いつまでに、どこまで引き上げていくかを明確にしていくことになります。

 人時生産性を改善していくには2つの手段があります。まずは、分母を大きくすること。すなわち、補助金を活用して業務改善等を行い効率化を促進してスタッフを減らししたり業務時間を創出する、ということです。もう一つの方法は、分子を大きくすること。すなわち、現状の人員・業務内容を維持したまま患者数を増やす、ということでICT機器を用いたかなりの業務効率化を促進していくことが必要になります。分子を大きくすることについては、これから多くの地域で人口減少が進んでいくことや病院スタッフの負担を考えると、なかなか難しいと思います。






生産性向上の価値を時間とお金で示す

 補助金の申請もさることながら、製品・サービスの導入にあたっては、生産性向上の観点はこれからは必要不可欠です。管理者やリーダーなどへと人任せにせず、必要と感じた本人が生産性向上に向けた取組などを起案して、提案していくことが大切です。起案・提案の成功率を高めるためにも、生産性向上の経済的価値を示すことが必要になります。ここでいう経済的価値とは、新たな時間を創出することで診療報酬等で新たな収入を生み出すこと、また時間外勤務を減らす手当などを減らすこと、など考えられます。