令和8年度中、すなわち残り少ない今年度中に経済・財政新⽣計画において「被保険者に対し、リフィル処⽅箋について、周知・啓発を⾏っている保険者の割合」を設定することとなっている。なお、国民健康保険では令和5年度時点では59.9%、令和6年度では83.2%となっていることがわかっている。この周知・啓発とは、保険者から送られてくる後発医薬品差額通知と共にリフィル処方に関する紹介などされることなどだ。あくまでも、周知・啓発の目標値であって、数量割合の目標値ではない。


 その一方で、令和6年度診療報酬改定では、生活習慣病管理料と地域包括診療料/地域包括診療加算といった、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病を患者のかかりつけ医機能を評価する項目で「長期処方やリフィル処方箋による処方に対応可能であることを患者に周知すること」が要件に追加された。そして、令和8年度診療報酬改定では、特定疾患療養管理料、皮膚科特定疾患指導管理料、婦人科特定疾患治療管理料、耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料、二次性骨折予防継続管理料及び小児科外来診療料にまでその対象が拡大されることとなった。患者側に長期処方・リフィル処方に関する知識がついていくことで、患者側からの相談が増えてくることも考えられるため、今後の慢性疾患診療においては、長期処方・リフィル処方に関する相談を行うことを前提とした対応の備えが必要になる。なお、「対応可能」ということは、相談があれば必ず長期処方・リフィル処方をしなければならない、というわけではない。患者の検査データや服薬状況などを踏まえ、場合によっては長期処方・リフィル処方をしない、という選択を患者に伝えることもある。相談に応じること、という意味だ。





 処方元の変化は薬局にも影響が及ぶことになる。令和8年度調剤報酬改定は、こうした長期処方・リフィル処方への対応を意識した内容となっていることがわかる。


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患者のための薬局ビジョンとの乖離の差を処方箋集中率と地域貢献の実績で埋める

 2015年に策定され、2035年をゴールとする「患者のための薬局ビジョン」だが、策定から10年を経過して、進捗状況はよいとよいとは言い難いと判断されたのが、令和8年度調剤報酬改定の議論の始まりだった。


参照:改めて読み返し、基本姿勢に立ち返るための「患者のための薬局ビジョン」

参照:調剤報酬と歯科診療報酬改定に向けた論点探しがはじまる。かかりつけ機能のさらなる拡充と後発医薬品の加算の行方、医歯薬連携の評価に注目


 患者のための薬局ビジョンでは、立地も地域へとされ、地域で暮らす患者本位の医薬分業を実現することが目標とされている。しかしながら、立地は門前の状態が続いており、処方箋集中率に依存する経営となったままだ。そこで今回は、処方箋集中率の見直しと共に、すでに医療資源及び店舗数が飽和状態となっている地域での新規開設へのペナルティとなる減算評価が設定された。




 また、かかりつけ薬局の機能を評価する地域支援加算と後発医薬品調剤体制加算を廃止・統合した地域支援・医薬品供給対応体制加算を新設することとなった。この新たな加算は、後発医薬品の安定供給への取組として医療医薬品の流通改善ガイドラインを遵守することを施設基準に盛り込むものとなっている点にも注目があつまる。薬価差益が悪いというわけではない。薬価差益は経営努力でもあるのは認められることだ。ただ、行き過ぎた過度な薬価差益は慎むべき、ということだ。具体的に言えば、地域によってことなる流通コストをしっかり反映した価格になっているかなどだ。





 なお、地域支援体制加算からの移行でもあることから、地域貢献への実績も求められることとなる。調剤基本料1とそれ以外で実績に差がつくものとなっている。




 また、求められる体制として、本年6月以降の増改築等においては調剤室を16平方メートル以上にすることやセルメディケーション機器を設置することが必要になる。




 調剤基本料の見直しとかかりつけ薬剤師機能の評価拡充にあわせ、薬局を統合していく流れが出てくると思われる。そうなると、増改築をしていくことになる。その際に、クリーンベンチの設置やバイオ後続品を保管管理する冷蔵設備の設置などを合わせて検討してもらう意味もあるのだろう。また、セルフメディケーション機器の設置については長期処方・リフィル処方とも関連してくるものといえる。地域連携薬局及び健康増進支援薬局の届出を増やすことを間接的に支援しつつ、今後、薬局に設置された血圧測定器などでチェックをし、設定された数値をクリアできなければ受診をした上で調剤をする、こういうことなど考えてのことかもしれない。

 また、調剤管理料が長期処方と長期処方以外で見直しとなり、長期処方以外は大きな引き下げとなっている。




 長期処方・リフィル処方が増加することを見据えた体制整備は着々と進められている。じわりと患者の傾向も変わってくることを意識して、対応方針を適宜見直していくことが求められる。




かかりつけ薬剤師の配置を支援する薬局、薬剤師に期待される役割

 かかりつけ薬剤師指導料等が廃止され、服薬管理指導料おいてかかりつけ薬剤師による指導の場合という評価方法に変わった。





 

 服薬管理指導料自体はかかりつけ薬剤師であるか否かは関係なく点数は同じだが、かかりつけ薬剤師フォローアップ加算等を算定するには、服薬管理指導料をかかりつけ薬剤師でなければならない、ということになる。

 また、重複投薬・相互作用等防止加算及び在宅患者重複防止・相互作用等防止管理料を見直し、残薬確認対応と有害事象への対応のぞれぞれを別途評価するものと点数も含めて見直されている。なお、調剤管理料を算定する患者が対象となる。




 

 服用薬剤調整支援料2が大きく見直され、いわゆる薬剤師による薬剤レビューを評価するものとなったのも注目点だ。6か月に1回の算定で、薬剤師一人につき月に4回まで算定が可能となる。なお、所定の研修が必要とされることもあり、適用となるのは令和9年6月からとなる。





 1,000点という高い評価となっているが、患者がどのように受け止めるかを考えると、きちんとメリットを伝えること、場合によっては後期高齢者医療保険など1割負担の患者などを優先的に対応を考えることなど必要になるかもしれない。私自身も3か月処方で通院し、薬局で医療用医薬品を受け取っているが、半年に一回とはいえ、3,000円を負担すると驚くだろう。


 長期処方・リフィル処方時代の到来を見据え、立地依存から脱却し、地域住民本位のかかりつけ機能を発揮する環境整備と薬剤師による医薬品の適正使用を推進するべくかかりつけ薬剤師の評価を高めていることがわかる。ただその一方で、かかりつけ薬剤師に関する機能の評価を患者に理解してもらうことも重要だと感じる。物価高が続く現状にあり、一般紙などでもいかにコスト意識を高めることやそのテクニックなどを伝えている場面をよく目にする。経営的な視点もさることながら、患者からの視点も理解し、地域住民にとっての身近な健康ステーションと認知してもらえるような取組を、薬局そのものとそこに勤務する薬剤師が意識して取組むことが必要だ。