令和7年8月27日、第3回地域医療構想及び医療計画等に関する検討会が開催されている。今回の検討会では、これまで議論されてきた構想区域の考えた方と急性期拠点機能と高齢者救急・地域急性機能を中心とした医療機関機能の配置について、さらに医療と介護の連携、構想区域の策定の考え方について検討されている。 


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【コンテンツのご案内】令和5年度病床機能報告制度に基づく現行の地域医療構想の現状




急性期拠点機能の整備、人口20-30万人毎に1拠点を目安に確保を基本に

 新たに設定される医療機関機能報告をベースに、まずは急性期拠点機能をどういった目安で配置していくか、議論されてきたところだが、今回の議論でその一応の決着がついたといえる。例えば、100万人規模の大都市型であれば3−5拠点といったことになる。




 その一方で気がかりになるのが、人口20万人未満の人口が少ない地域の場合だ。その点について、厚生労働省からは「⼈⼝推計や医療資源などのデータを踏まえて急性期拠点機能を1つ確保・維持できるかの観点で点検する」として、当該区域内での連携・再編・集約化だけでなく、隣接する区域との合併等も含めて検討する事となる。その際、必要な医療へのアクセスで問題が生じないように、オンライン診療や巡回診療、医師の派遣といった取り組みを踏まえた地域医療構想の策定が必要となる。







 今後、構想区域の点検・現行からの見直しをしていくに当たっての観点と必要なデータについても案が提示されている。人口少ない地域については、2040年やその先も医療資源に応じて持続可能な医療従事者の働き⽅や医療の質の確保につながる急性期拠点機能を確保・維持できるか、⼈⼝や医療資源の多い周辺の区域と統合する必要がないか、といった観点での点検をする。一方で都市部については、多くの医療機関が所在する中で連携・再編・集約化を進めて効率的な医療提供体制を構築できるか、病床機能や医療機関機能について区域内で医療資源の偏在がある場合、偏在を是正して均質な医療が提供できるか、といった観点でみていくことが示されている。



  都市部については、東京23区内をどのように考えていくかは大きなテーマになる。例えば、私が住んでいる葛飾区と中央区や港区では患者の傾向も異なるし、医療提供体制も異なる。ちなみに、葛飾区を含む区東北部医療圏は病院薬剤師が不足している地域だ。都市部には都市部の課題が有る。こうした課題をどのように顕在化し、新たな構想区域を設定していくか、注目したい。


 
 医療機関機能報告では、医育及び広域診療機能として大学病院本院もある。今回の検討会では様々な実績データや取り組み事例が示された。






 大学病院には都道府県と連携し、地域の医療提供体制における役割が求められる。大学病院ごとにその特性が様々である中で、医師の派遣や医師やその他の職種の教育、広域な診療機能等に係る大学病院本院の都道府県に対する貢献のあり方について、各都道府県・大学間の取組や、特定機能病院に関する検討状況も踏まえて整理してはどうか、といった方針で今後議論されていくこととなる。


介護との連携、まずは精緻なデータの収集と把握、既存の協議の場の活用を

 新たな地域医療構想は、従来の入院医療だけではなく、外来・在宅・介護もひっくるめた構想を策定することになる。介護については、地域ケア会議やサービス担当者会議などがすでに存在していることや、来年度からは新たにかかりつけ医機能報告制度に基づく協議の場も設けられて在宅についての地域での協議もはじまる。地域医療連携ネットワークのカンファレンスなども広義の意味で言えば協議の場とも言える。




 もちろん、すべての協議が円滑にできているわけではない。とはいえ、協議の場が増えすぎてしまっては、患者・利用者に向けたケアにも支障が出たり、スタッフの負担ばかりが重くなってしまう。そこで、既存の協議の場を有効に活用していく、場合によっては今回の新たな地域医療構想を契機に合理化を図っていくことが必要だろう。
 そこで、今後の方針の一つとして「構想区域単位等の範囲で都道府県、市町村、医療関係者、介護関係者等が将来の提供について検討することとし、圏域内において提供体制について特に課題がある地域については、既存の協議の場も活用しながら、具体的に検討することとしてはどうか」といった提案がなされている。
 なお、そうした協議の場において必要とされるデータについては「国が都道府県に提供することとし、そのために必要なデータについては国で把握すること等の対応を検討してはどうか」と提案され、負担の軽減を図るように考えられている。
 医療と介護の連携の考え方や進め方の具体的な事項については、「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」で検討することになりそうだ。

 

構想策定のあり方、合意形成と案の比較評価を

 地域医療構想の策定は、誰かが一方的に決めるものでもなく、納得と合意があってできるもの。時には駆け引きも必要になる。例えば、連携するには、バラエティに富んだ機能を持ちすぎていては連携は進まず、協力は得られにくい。そこで、他よりも劣るなにかを手放し、協力を得ることで、共存していくという視点がこれからはより重要になる。
 地域医療構想の策定に当たっては、自院の都合も重要だが、地域の実状と患者の都合を意識していくことが必要だ。今回の検討会では、構想策定に際しての在り方について2つの必要な考え方を示している。







 残念ながら、2040年に向けて多くの地域では「共存共栄」は無く、「共存維持継続」を目指すことになる。地域における自院に寄せられる期待とできることを改めて考える、新たな地域医療構想はそうした機会を与えてくれているとも言えるだろう。