令和7年8月28日、令和7年度第10回入院・外来医療等の調査・評価分科会が開催されている。高度急性期入院、入退院支援と後方支援、外来医療(生活習慣病管理料、特定機能病院の逆紹介の推進)、データ提出加算についての議論となっている。


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特定集中治療室を有する病院の傾向から読み解けること

 本分科会では、これまでの議論で拠点的な急性期機能と一般的な急性期能について検討されてきたこともあり、特定集中治療室等の高度急性期入院について、医療の質と人材の確保の観点からもある程度の集約化が必要ではないか、という考えで検討が進められてきている。

 そこで、拠点的な急性期機能と一般的な急性期機能の要件の指標となることが考えられている「年間救急搬送件数」と「年間全身麻酔手術件数」を用いて、分析した結果が明らかにされた。


参照:急性期機能を「救急搬送」・「全身麻酔手術」・「総合性」の評価指標で。救急医療管理加算、救急搬送との関連性に着目


 そこから、見えてきたことは救急搬送件数が多い病院では特定集中治療室入室患者の一日当たりの医療資源投入量が多くなること、全身麻酔手術件が多い病院では特定集中治療室入室患者の一日当たりの医療資源投入量が少ない患者(術後管理で使用し、病状が安定している)と逆に医療資源投入量が多い患者(術後の経過がよくなく、合併症等が生じているなど)がいるということだ。さらに、「年間救急搬送件数」と「年間全身麻酔手術件数」をクロス集計したものも公表されている。




 救急搬送件数が多い病院で、全身麻酔手術が多い病院では特定集中治療室の入室患者の医療資源投入量は少ない患者が多くなることが何となくわかるが、救急搬送件数が少ない病院でも特定集中治療室の入室患者の医療資源投入量は少ない患者が多い病院が一定数ある。専門特化している中小の高度急性期病院や、地域の実状などがこうした結果となっている可能性もある。更なる分析を通じて、拠点的な急性期機能への集約化として特定集中治療室の要件設定の見直しが議論されていくことになる。


 ところで、特定集中治療室管理料については前回改定で宿日直許可を得た医師を院内に配置することでも評価される区分5・6が新設されたところだ。診療報酬改定後どうなっているのか、今回報告されている。区分によって患者状態に大きな違いはないこと、区分5・6では夜間・休日にその他の診療科の医師を配置している割合が高いことが示されている。





 こうした結果から見えてくることとしては、先ほどと同じように、病院の規模・専門領域・特定集中治療室の病床数の規模によっては多少の違いはあるが、区分による受け入れ患者の状態に違いはなく、医師・看護師の人件費を勘案した現行の評価の考え方のままでもよいように考えられそうだ。ただ、集約化を進めていくことと賃上げを考えると、拠点的な急性期機能が有するであろう区分1・2については、点数の引上げ幅は検討する必要もあるだろう。


 伸び悩む特定集中治療室の対する加算である重症患者対応体制強化加算についても議論されている。重症患者対応体制強化加算には、地域の医療機関等が主催する集中治療に関する看護の研修で講師を務めるなど地域の急性期医療の質の底上げを図ることまでを盛り込んだもので、まさに地域医療の基幹的役割を果たすことを評価するものだが、届出は低調だ。その理由は、やはり要件のハードルが高いこと。特に、看護師の確保。それから、急性期充実体制加算の届出が必須であるという点だ。




 ここで課題になるのが、地域の基幹病院ともなる特定機能病院には急性期充実体制加算の届出はできない、ということだ。特定機能病院でも急性期充実体制加算の届出をできるようにするのか、重症患者対応体制強化加算の要件を見直して特定機能病院でも届出できるようにするのか注目される。重症患者対応体制強化加算が各地域で拡充していくことは、当該病院だけではなく、地域の急性期入院医療の質の向上にもつながることになる。



入退院支援加算に「⾝寄りがなく同居者が不明な者」を追加へ?

 これまでの本分科会の議論では、入退院支援加算については、平均在院日数の短縮化に効果があることと認識されているものの、算定する入院料・病棟機能・患者像によって支援内容が異なることから、それぞれの機能等に合わせた見直しや共通する課題に対する対応を明確化することが求められていた。




 

参照:看護師の負担軽減への対応が急務。病床機能に応じたNSTや入退院支援部門の評価を検討へ 他


 今回明らかにされた分析結果では、退院困難な患者のうち退院調整完了まで時間を要する患者、退院調整に人手を有する患者について。そこで見えてきたのは、全入院料で共通するのが「身寄りがなく同居者が不明な者」が圧倒的に多いということだった。





 現行の入退院支援加算では、「身寄りがなく同居者が不明な者」は対象になっていないことから、新たに対象に加えることとなりそうだ。ただ、実際に対象に加えたところで、どういった対応が求められるのか。そこで、「身寄りがなく同居者が不明な者」に対する支援の現状についても明らかにされ、2019年に策定されている「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」に基づいた対応など紹介されている。





参照:身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン及び事例集


 その他、入退院支援に関する議論として、現在も続く患者と家族の面会制限の影響による退院支援が困難になるケース、高齢者施設等への退院に伴い施設側からの金品提供の有無などの課題も示されている。

 介護支援連携等指導料についても課題が明確化されている。新型コロナ化で大きく算定件数は減少したが、現在は回復の途上にある。課題について尋ねたところ、「課題あり」と答えたのは47.6%(n=1,417)。入院料別では、急性期1、急性期2~3、特定機能病院、地域包括医療病棟において「課題あり」が6割を越えていた。在院日数が短くなっているため、介護支援専門員との連絡調整が難しくなっているなどが主な課題となっている。書類上でのやり取りでも可能にするなどの見直しも考えられる。




 地域連携診療計画加算、すなわち地域医療連携パスについては、近年届出が横ばいとなっていることが示されている。地域医療連携パスは、医療情報ネットに医療機関毎に疾患別に有無が掲載されており、地域における連携の度合いや基幹病院(計画管理病院)との関係性が分かるようになっている。



 こうした地域医療連携パスを推進するために、地域で入退院支援ルールを統一している事例が紹介された。かかりつけ医機能報告制度もスタートすることから、地域をあげたルールの統一化は非常に有効だと言える。拠点的な急性期機能を有する病院の連携室などに対して、こうした対応と評価なども考えられるかもしれない。





後方支援病院との平時からの連携を強化する評価を模索

 在宅療養後方支援病院や介護保険施設の協力医療機関など、在宅・施設入所者の緊急時の対応をする医療機関に対する評価も近年高まってきている。とりわけ、地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟を有する病院には、高齢患者の緊急時の入院に対応できる環境が一般急性期よりも整備されている。




 令和6年度診療報酬改定では、緊急時の入院体制もさることながら、平時からの連携で救急搬送を減らすための取り組みということで、地域医療情報連携ネットワークを活用することの評価を新設したところだが、思いのほか導入は進んでいない。その理由として、導入コスト・維持管理コストが理由として挙げられている。

 また、協力対象施設入所者入院加算を届出していない医療機関にその理由を尋ねてみると、システムの導入ができていないことが最も多く、次いで導入されていたとしても十分に活用しきれていないことが分かっている。





 地域医療情報連携ネットワークシステムの導入を促進することと同時に、利活用を促進するための支援・情報提供が必要だと言える。コストの面でいえば、導入に関しては補助金等で、保守管理については診療報酬でカバーする、というのが分かりやすい。私自身も地域医療情報連携ネットワークに関する取組をしているので、診療報酬でどういった評価となっていくのか注目したい。



外来におけるポリファーマシー対策、食事指導などの全人的な診療を推進。生活習慣病管理料については、継続受診と受診間隔がキーワードに

 来年度より本格的に始まるかかりつけ医機能報告制度だが、診療報酬による評価との整合性も一つの話題になっている。今回の議論では、全人的な診療、生活習慣病管理料の現状、特定機能病院からの逆紹介推進に関するものとなっている。

 全人的な診療について、やはり機能評価加算を届出ている医療機関における状況について確認されているが、検査結果についてより早期に結果を出せる体制が確保されている傾向が明らかにされている。また、地域包括診療料・地域包括診療加算の届出のある医療機関が届出できる「薬剤適正使用連携加算」(対象となる患者が入院・入所する際に処方内容・薬歴を連携し、入院・入所中に減薬していることを評価)の算定回数が低調であることがしめされた。地域包括診療料・地域包括診療加算の届出のある医療機関自体が少ないということもあるが、それでも明らかに少ないといえる。届出をしていない理由としては、その存在自体を知らない、ということだ。




 ポリファーマシー対策を地域で進めるためのガイドラインが昨年策定・公表されていることを考えると、入退院支援部門との連携に対する取り組みを加え、地域ポリファーマシーコーディネータとの協力体制などを求めていくべく、対象となる医療機関を緩和していくことや、地域包括診療料・地域包括診療加算の実績要件などに追加していくことなども場合に場合によっては考えられることを意識しておきたい。


参照:院内でのポリファーマシー対策は院内の専門医療チームとの連携で効率的に。地域では地域ポリファーマシーコディネーターを定め、患者個別に薬剤調整支援者による対応を


 また、食事指導についてもポイントになりそうだ。病院や栄養ケア・ステーションとの連携による栄養食事指導はオンラインでも可能となっている。医療情報ネットでも管理栄養士の有無は掲載されることになっていることからも、今後連携のテーマとして押さえておきたい。




 前回改定で大きな変更となった生活習慣病管理料についても今回踏み込んだ議論をしている。管理料Ⅱの包括範囲の妥当性、主病名が糖尿病の場合に在宅自己注射指導管理料は算定不可となっている点について、議論されていくこととなりそうだ。

 財務省の春の建議でも課題として挙げられていた受診間隔についても今回検証されている。病状が安定している患者については、受診間隔を見直すことで受診回数を適正化する、というものだ。今回の検証結果からは、1か月に1回以下の頻度で「再診料」を算定している患者は、約85%、診療所で「生活習慣病管理料 (Ⅰ) (Ⅱ) 」を平均して2か月に1回以下の頻度で算定している患者は、約50%前後という結果だった。そして、2か月に1回より少ない患者については、生活習慣病管理料(Ⅰ)が多い。長期処方及びリフィル処方の推進は医療費定性化計画で目標を設定することとなっていることから、対応を求められるような評価になる可能性も考えられる。





参照:令和7年度春の建議に向け、医療提供体制・診療報酬・調剤報酬に関する議論が行われる

 

 生活習慣病管理料に関するこれまでの議論では、継続算定率の考え方が注目を集めていた。今回は、受診継続率に関するデータも示され、継続算定率との比較もされている。重症化対策を着実に実施することやかかりつけ医を明確にするためにも、継続して診療を行っていくことに対する何らかの評価は検討されるだろう。




 特定機能病院からの逆紹介が進んでいないことがこれまでの議論で話題になり、詳細な調査・分析が求められていた。


参照:外来医療に関する令和8年度診療報酬改定、5つの論点が示される


 今回示された結果を確認すると、紹介患者の割合が高いことから、特定機能病院で外来診療料の減算対象となる患者がいる割合は0%(n=88)だった。ただし、「文書による紹介を行う旨の申出を行った患者」「地域の診療所と連携して診療にあたっている患者」の割合は低く、「複数科を受診した患者割合」はそれらよりも高いことが分かった。





 特定機能病院における外来診療料を算定する患者の傾向を確認している。



 

  なお、地域医療支援病院又は紹介重点医療機関であって許可病床数200床以上の病院においては、「悪性腫瘍」の患者は約14%程度、「指定難病」の患者は約2%程度、「小児慢性特定疾病」は約15%程度だった。その他の大病院においては、「悪性腫瘍」の患者は約15%程度、「指定難病」の患者は約2%程度、 「小児慢性特定疾病」は約13%程度という結果。

 さらに、 外来診療料の注2・3減算を算定した患者の主傷病名は、地域医療支援病院又は紹介重点医療機関であって許可病床数200床以上の病院においては、 「悪性腫瘍」「指定難病」の割合は、外来診療料算定患者全体と比較して大きな差は認められなかった一方で、「小児慢性特定疾病」の割合は少ない傾向がった。その他の大病院においては、 「悪性腫瘍」の患者は約1%程度、「指定難病」の患者は約3%程度であり、外来診療料算定患者全体と比較して異なる傾向があった一方で、「小児慢性特定疾病」の割合には大きな差はなかった。

 これらの結果からは、専門性の高い領域については地域の医療資源・環境といった影響も考えられ、当該病院で継続して診ていかざるを得ない状況にあることも考えられるのではないだろうか。領域によっては、逆紹介の基準について見直すことも必要かもしれない。


 逆紹介を推進していくにあたっては、患者の理解と協力も必要になる。病院ではポスターを掲示したり、直接患者に説明をしているが、患者の理解を得ることが難しかったり、複数の診療科で受診している場合に診療科間の調整が困難となっていることが課題として挙げられている。




 
 患者の理解を得るための施策として、専門医とかかりつけ医による地域での2人主治医制があるが、実際の取り組み状況をみると、病院側では掲示物などで広報を行っている一方で、診療所側では特段の取り組みは無いで個別に話をしているという状況だ。





 患者側としても2人主治医制については好意的に捉えており、希望する患者は多いことが調査結果からもわかっている。




 連携強化診療情報提供料では、月に1回の紹介先から紹介元への情報提供が要件となっているが、対象患者が限定されているという課題がある。より逆紹介を推進し、2人主治医制を定着していくために、連携強化診療情報提供料の対象を拡充すると共に、専門医による半年に1回の診療を勧奨するなどの見直しの可能性は考えられないだろうか。


参照:高齢患者の増加に備え、外来の役割分担・包括期入院の適性評価・入院から外来への移行促進・一般病床での精神疾患対応・病院薬剤師の活躍の評価について議論される


 その他、データ提出加算についても議論されている。提出する様式1の簡素化や療養病棟にあった様式になっていないといった点が課題として挙げられている。