令和6年度からの勤務医の時間外労働の上限規制、いわゆる働き方改革。その中で注目されているキーワードが、宿日直許可基準、というもの。
勤務医の働き方改革について、改めて整理すると、時間外労働の上限規制は、「年960時間以内」(A水準)を原則とするが、医師の診療業務の特殊性を踏まえ、「年1,860時間」まで上限を緩和する特例水準が設けられている。救急医療など地域に必須とされる機能を担う医療機関が対象の「B水準」、大学病院など医師派遣機能を担う医療機関が対象の「連携B水準」、さらに、臨床研修医などが勤務する医療機関が対象の「C水準」がある。これら特例水準の適用を受けるには都道府県の指定が必要になる。指定を申請する医療機関は「医師労働時間短縮計画」を作成し、その内容について「医療機関勤務環境評価センター」(日本医師会)の第三者評価を受審。それらを判断材料に都道府県が指定を行うのだが、その指定を受けるためには、「令和5年度中」に「令和6度以降」の「医師労働時間短縮計画」を作成し、医療機関勤務環境評価センターの審査を受けなければならない。すなわち、これまでの実績を来年度中に審査を受けるために勤務状況の把握と改善などの計画を早く作らなければならないこととなっている。
そうした状況で注目されているのが「宿日直許可基準の取得」だ。
医局派遣や副業など、常勤している医療機関以外での勤務をしている医師は多いが、今後は派遣先や副業先での勤務時間も含めた勤務時間の管理が医療機関では必要となる。特に、医師の派遣機能をになる特定機能病院や地域医療支援病院など、いわゆる特例水準の医療機関では大きな問題になる。そこで、派遣先等で「宿日直許可基準」が取得されていれば、時間外労働時間の問題をクリアしやすくなり、医師の引き上げ等を避けることができる。しかしながら、その「宿日直許可基準」の取得が低迷している。
その理由は様々あるが、よく指摘されているのが、許可基準が統一されていない点。例えば、同じ2次救急病院でも取得している病院と取得できない病院があるなどよく聞く話だ。そこで、令和4年4月には申請に当たってのWEB相談窓口が厚生労働省に開設されたところだ。そして、申請にあたってのFAQなども適宜更新されている(直近では令和4年7月29日)。
いまだ続く感染拡大への対応。コロナ発生届の簡素化や軽症の場合の受診控えなどの訴えなど今の対応だけではなく、先を見据えた対応も同時に図っていくことが求められ、厳しい状況が見えないところで続く。