令和4年8月17日、社会保障審議会 医療部会が開催された。その場で、令和6年度からの勤務医時間外労働上限規制に向けた取組状況に関する報告がなされた。本年6月4日にも同審議会で取組状況の報告がされているが、それは本年3-4月に実施されたもの。今回は、5-7月で実施されており、さらに大学病院に対象を絞っている。
参照
令和6年度からの勤務医労働時間上限規制に向けた整理 ~宿日直許可基準について~
改めての確認だが、働き方改革において、地域医療を守る観点、医師の経験値を上げ、成長を促進させる観点から、医療機関の地域で担う役割から、時間外労働上限を引き上げることが可能な医療機関を都道府県が指定される。通常の時間外労働上限が年960時間のA水準とは別に、年1860時間を時間外労働上限とするB水準、他の医療機関への派遣機能を担う医療機関で派遣先での労働時間も通算しての年1860時間を時間外労働上限とする連携B水準、臨床研修病院などで研修医を対象にした年1860時間を時間外労働上限とするC水準、この4種類だ。なお、これからの医療機関に所属する医師全員が時間外労働上限が引き上げられるわけではなく、指定される事由となった業務の医師のみが対象となる。
今回の調査は大学病院となっているので、B水準・連携B水準・C水準に該当する医師がいる病院となる。今回の調査では、前回の調査と比べて、副業・兼業先も含めて勤務実態を把握している、と回答した病院が大幅に増加している。勤務医個人の意識の変化も当然ながら、経営者による働きかけや周知も大きく貢献してのことだといえる。ただ、気になるのは、自勤務状況によっては、地域医療機関への派遣などに支障が出ないかということ。そこで、宿日直許可基準の取得などが地域の市中病院では重要になる(参照:令和6年度からの勤務医労働時間上限規制に向けた整理 ~宿日直許可基準について~)。
今後も継続して状況調査と報告が行われることとなるが、地域医療支援病院など市中病院での対応状況等、そして宿日直許可の取得状況など今後注目される。