令和4年10月から医療機関勤務環境評価センターによる評価受審がはじまる。特例水準の適用を受けるには、この評価受審を受け、その結果を判断材料の一つとして都道府県からの指定を受けることとなる。評価受審は4-6か月ほどかかるとのこと、さらに各都道府県で開催される医療審議会の2か月前には県への申請が必要となる。また、提出する「医師労働時間短縮計画」については、令和6年度以降のものを作成しなければならない。令和4年度診療報改定では「地域医療体制確保加算」が見直され、「医師労働時間短縮計画」の作成が要件に追加されたが、この作成は、前年度の実績、当年度の取り組み目標、計画期間中の取り組み目標を記載することとなっているため、評価受審のために作成するものとは若干異なる点に注意をしておきたい。
そして脚光を浴びているのが「宿日直許可基準の取得」。
特例水準の適用を受けるには、派遣先や副業先での勤務時間も含めた勤務時間の管理が医療機関では必要となる。しかし、派遣先等で「宿日直許可基準」が取得されていれば、時間外労働時間の問題をクリアしやすくなる。ここ最近、派遣元となる大学病院等からの圧力も強くなっているようだ。
先日、医療の領域を専門とする社会保険労務士の先生に身の回りで起きている現状について伺ったことを紹介したい。
・許可証を紛失しているケースが多い。
許可基準は一度取得すれば、更新は不要。ただし、許可証を紛失してしまった場合は再発行は不可で、再度申請して取得しなければならない。紛失しないように、注意が必要。また、以前とったものの、許可証が無くなっていないか、確認を。
・いきなり、全体で申請するのではなく、見込みのありそうな診療科から申請を。
診療科毎に申請、取得となっているので、いきなり全体で申請して、不可だった場合の後が大変になる。そこで、まずは救急搬送件数などから見込みのある診療科から申請をして、他の診療科に横展開していくことようにしたい。なお、救急車による搬送件数はあくまでも目安であって、実際に救急対応に要する時間の把握が重要。
・労働基準監督署は、そもそも医療機関は守っていないと思い込んで接してくるもの。
医療機関は忙しいことをよくわかっているので、そもそも基準を守っていないだろう、という見方をしていることが多い。実際に申請のために3回ほど足を運ぶこともある。説得力のある説明、粘り強さも必要。
また、こうした働き方改革の一連の推進に伴って、昨年の医療法改正では検査技師などの業務範囲の拡大も図られている。そのため、病院間だけではなく、診療所も含めた専門職者の獲得競争も起きようとしていることに注意しておきたい。