3年に一度実施される患者調査の結果の概況が公表されている。今回公表されたものは2020年度調査のもので、毎回10月に実施されている。COVID-19感染拡大の最中ということもあってか、入院・外来ともに減少傾向だった受療率が、これまで以上に大きく下がっている。また、年代・感染者数など地域差の影響もかなり出ているのが特徴だ。
その他のポイントについて確認してみる。
入院患者数はこれまでも減少傾向で、外来患者数については横ばいから微減というトレンド。外来についてはやや診療所の割合が高まっているが、外来機能分化の進展とも思えるが、病院数の減少や診療所の増加なども関係していると思われる。
65歳以上高齢者の入院・外来の受療率が減少のトレンドにある。介護保険制度が始まった時期からそのトレンドが始まっているのに気づくが、高齢者のコミュニティの場が外来の待合室からデイサービスへ、入院から入所へ、と変化が続いている。
平均在院日数については短縮化の傾向が続いているのがわかる。有床診療所においてはやや底打ち感があるが、地域包括ケアシステムの受け皿としての機能を担っている診療所もあることから、有床診療所の軒数の減少に歯止めをかける事が必要に感じる。
入退院前後の患者の所在について。家庭とあるが、これは在宅医療や通院も含まれている点を考慮。医療機関の機能や地域の医療資源にも左右されるところであるため、この結果だけでは何か言うことは難しい。地域毎にみていけば、地域医療連携の課題も見えてくる。
感染拡大期の調査結果ではあったが、大きなトレンドは変わっていないことは確認出来た。入院から通院・在宅治療の流れは着実に進み、病院がかかりつけ医をバックアップしていく体制を創っていくことを今後も意識した体制構築が望まれる。