月刊誌CLINIC BAMBOO 2022年7月号の巻頭鼎談として、リフィル処方箋をテーマに有識者の先生方(ファルメディコ・代表取締役社長 狭間先生、日本経済大学 教授・赤瀬先生)とオンラインにて対談を行う機会をいただき、掲載いただいた(試し読みできます)。その内容はリフィル処方箋に関する政策の動向、実際の利用場面の体験など。
COVID-19感染拡大の影響の一つとして、外来の受診抑制という事象があげられる。しかしこれは、問題だけではなく、オンライン診療などの非対面診療の可能性を拡張し、リフィル処方箋の導入まで広げることとなった。医療機関の経営という観点で見ると、確かに収入減少につながる側面もある一方で、増えるものもある。それは、時間だ。オンライン診療の場合は在宅診療での利用で時間の創出につながるし、リフィル処方箋についていえば、患者と接する時間・機会が少なくなる。そこで、薬局との連携で患者の重症化予防に向けた服薬フォロー等の連携が重要になるのは間違いのないことだが、医療機関としては、減る収入に対する対応は考えておく必要がある。ポイントとしては、まず一つは新たな事業を起こすということ。二つ目は在宅医療への取組を検討すること。三つ目はアルバイトを含む他の医療機関での業務を行うなど。
新たな事業としては、健診事業などもあるが、非対面診療の時代であることや既に多く参入されていることを考えると、慎重にならざるを得ない。そこで、注目しているのが、健康相談に関する取組だ。本年1月にオンライン診療の指針が改訂され、かかりつけ医以外の初診でその患者情報がない場合でオンライン診療を実施するにあたっては、診療前相談を行うことが必須となった。この診療前相談の段階は診療ではないため、別途費用を徴収することとなる。あくまでも、オンライン診療実施の可否を判断するものではあることに注意が必要だが、この診療前相談の考え方を拡大解釈していくことは考えられるのではないだろうか。
なお、健康相談については、すでにポケットドクターやLINEヘルスケアなど事業者による有料サービスはすでにある。また、活動量計などを利用した健康管理・疾病管理に関するコンシェルジュ的なサービスを行う医療機関も出てきている。健診事業との親和性も高く、また生活習慣病患者の治療継続性を高めるためにも有望なサービスとなりうる。
参議院選挙を終えたばかりだが、与党が圧勝し、当面の経済・社会保障政策は継続される見通しだ。リフィル処方箋、新たなオンライン診療の指針はすでにスタートしているもので、いまさら止めることも難しい。それではあればよりよい運用を行ていくための工夫、そして事業に対するアイディアが経営において必要になってくる。