今年6月の規制改革実施計画の答申では医療分野においては、タスクシフトについて検討され、中でも在宅における薬剤師の看護業務の実施に関する内容に注目が集まったところ(参照:規制改革推進に関する答申案を読む① ~医療従事者のタスクシフトと「共通基礎課程制度」~)。先進諸国の中では人口対比で薬剤師の数が最も多いことはたびたび指摘されているため、そのマンパワーを不足する在宅医療で積極的に発揮してもらおうというものだ。
そして先日「薬学部急増、2025年度以降は新設認めず…将来的な「薬剤師余り」に対応(読売新聞)」と題された報道がなされた。ここで注意しておきたいのは、地域の偏在には対応することとしている点。薬学部を有する大学の多くは、いわゆる都心に集中している。そのため、地域偏在が起きている原因にもなっている。そこで、薬剤師不足となっている地方都市においては例外的に認める、という方針とのことだ。ただ、この点注意が必要だと個人的に思う。先日関東の某県でのような話を聞いた。
「県立の大学で看護師やセラピストを養成しているけど、その多くは県外の出身者で、資格を取って卒業したら地元に帰って行ってしまう。国立大学などなら仕方ないと思うけど、県民のお金を使って地域医療の人材を創ることを期待しているのに、残念な状況だ」
この話は医療従事者ではなく、医療機関とお仕事をする地元企業の経営者から聞いた話。医学部や一部の看護学部でも行われているような「地域枠」の設定と一定期間の地域での業務などを求めることを検討することが必要だと思われる。
また、薬学部に関連しては、学生の質についてもたまに聞かれることがある。6年制になったことがきっかけだが、4年で資格を取れる看護学部に優秀な学生が流れている、という話だ。事実かどうかわからないが、私も子を持つ親としては、教育も投資と考えるとなんとなく気持ちはわかる気もする。大学別の合格率はこちらで公表されている。なお、合格率だけをみるのではなく、受験者数と大学の受験対象となる学生数も合わせて確認の上、合格率を確認することが重要だ。
そして、薬剤師に関連しては地域差もさることながら、病院勤務と薬局勤務の賃金格差も度々テーマとしてあげられる。先ごろ、病院団体より看護師だけではなく、薬剤師の給与引き上げに関するお願いが話題となっていた。