2022年6月7日、骨太方針2022が閣議決定された。以前、原案について解説している(参照:骨太方針2022の原案を読み解く)。原案との大きな差異となるものは見つけられなかったが、個人的に目を引いたのが追加された以下の一文。
「バイオシミラーについて、医療費適正化効果を踏まえた目標値を今年度中に設定し、着実に推進する。」
バイオシミラーとは、比較的高額な薬価となる先行バイオ医薬品とほぼ同じ成分(有効性、安全性で高い類似性)が同じ量含まれているバイオ後続品のことで、バイオ医薬品の後発医薬品ともいえるもの。厳密に言えば、後発医薬品とは異なるものだが、診療報酬にある「後発医薬品使用体制加算」においては、バイオシミラーも後発医薬品としてカウントすることとなっており、薬価も先行バイオ医薬品に比較すると低く設定される。
バイオシミラーの推進については、昨年(2021年)に公表された「医薬品産業ビジョン2021」においても明記され、事実、診療報酬改定において評価が拡充されたところ。しかしながら、明確な目標値の設定には至っていなかった。
骨太方針2022では、今年度中にバイオシミラーに関する目標値を決定するとのことで注目が集まるところ。ただ、目標値の設定に関しては、製剤毎に普及割合が大きく異なっている。そこで、製剤毎の目標設定など現実的ではないかと考えられる。また、高額療養費との兼ね合いも普及促進においては障害になることもある(参照:高額療養費制度が救うもの、阻害するもの)。患者にとって何が最善であるのか、また社会保障という観点で一個人のメリットだけではなく、持続可能な社会作りに対しての貢献をどう考えるか、選択を患者も医療者も迫られる。