4月に入ってからの急な経済回復がある一方で、モノが不足したり、物流の影響、さらには戦争などの地政学リスクもあり、いろんなものが値上がりしている。医療機関も同様だ。オンライン診療・リフィル処方箋の推進もあり、対面診療の機会が減ることも含めた直接的な受診控えが当面続くことも考えられるし、また、感染対策や控えていた手術の再開などで消耗品の使用頻度も上がることも考えられる。いわゆるコストに関する問題だ。
医療機関の経営とは、ホテルと同じ装置産業に分類される。そこから動くことができない(マ商圏が固定されている)、固定費が高い反面、変動費が高くなれば大きな利益を生み出す、というのが特徴で、売上の95%は診療報酬が占めているのが特徴だ。その売り上げのなかでの主な支出(費用)は、約50%が人件費で、20-25%程度が医薬品を含む診療材料費となる。
参考) 病院経営管理指標
医療法人が開設する病院、公的医療機関及び社会保険関係団体病院の開設する病院を対象とし、各会計年度における損益状況(損益計算書)、財政状況(貸借対照表)及び既存の調査・報告を基に集計したもの。病院の機能や規模、地域性に密着した経営状況の実態を係数的に把握し、病院の健全な運営に資するために定期的に公表されている。
さて確認・注意しておきたいのが「カスハラ」だ。被害者にも、加害者にもなりうるものだ。
カスタマーハラスメント対策企業マニュアル・厚生労働省
被害者としての側面については、主に対患者の場面で起こりうるものでイメージは沸きやすのではないかと思うが、加害者としての側面とは、仕入等において過度な要求など知らず知らずのうちにしていないかなどがあげられる。価格交渉等の場面で、医療機関側(もしくは、代理人)がかなり過激に迫るという場面を見たことがあるが、あまり気持ちのよいものとは言えない。医療を行うのは医療機関だが、その医療提供に必要な物品などは企業からの仕入れが必要になるので、医療関連企業も同じ医療チームだといえる。過度な要求はチームメンバーを苦しめ、供給に影響を与え、最終的には地域住民が不利益を被ることになる。また何よりも、自院の患者にもなりうることを考える必要がある。医療とは地域密着型の産業。医療に係るすべてのステークホルダーの納得と安心があってこそだといえる。
ただし、過度な経費などは見直しは当然必要だ。例えば、過剰になっている検査項目はないかとか、後発医薬品への切替が可能なもの(患者の同意の上)はないかなど。先にご紹介した「病院経営管理指標」などを確認しておきたい。
なお、こちらも確認だが消費税増税に合わせた「消費税転嫁対策特別措置法」は令和3年3月31日で失効しているが、失効前に行われた転嫁拒否等に関する行為は失効後も監視・取締りの対象となる。