2015年を基点として、2025年を当面のゴールとする地域医療構想。わかりやすく言えば、地域の実状に合わせて病床・病棟単位で医療提供体制を整備、調整するものといえる。あくまでも、病床・病棟と患者受け入れのキャパシティを表すもので、この政策に働き方改革と地域医療の偏在対策が加わることで、地域医療における生産性向上と診療密度の向上が実現できる、すなわち医療の三位一体改革がそれだ。地域医療構想は、その三位一体改革の旗頭ともいえるもの。
人口減少が進む地域においては、緩やかなダウンサイジングは避けられない。ただし、急激なダウンサイジングは地域住民に不安を与えることとなる。だからこそ、地域住民との対話が必要であり、地域を知り尽くした医療機関・医療従事者自らが意思決定していくことが大切だと感じている。地域医療連携推進法人という選択肢はその意思を表明したものだといえ、地域医療構想を実現するための手段の一つといえる。
ある地域医療連携推進法人の理事長とお話をした時に印象的な言葉が今でも残っている。
「地域医療連携推進法人とは、行政などからとやかく言われて地域医療構想に取組むのではなく、地域を熟知した地域医療機関が自ら不安と混乱を地域住民に与えずに、緩やかにダウンサイジングしていくこと決めて取組むということだよ」