外来機能報告制度が本年度から始まることを以前「外来機能報告制度がはじまる。そして、紹介受診重点医療機関が2022年度末には明らかに」で伝えた。
改めてその目的を確認すると、第一に「外来機能分化の推進」があげられる。日常診療を担うかかりつけ医(かかりつけ医に3つの定義。診療報酬での評価は?、を参照)と医療資源を重点的に活用する外来(重点外来)を有する医療機関(紹介受診重点医療機関など)との役割分担と患者の受診行動を変えるためのものといえる。
第二に「重点外来を有する医療機関等での待ち時間短縮」がある。第一の目的を通じて、かかりつけ医が案内人となって患者の受診行動の変容を促すことで、患者の負担軽減をはかることができる。
そして第三に「勤務医の働き方改革だ」。重症患者にフォーカスする環境に使づくことで専門外来や検査、入院医療に注力でき、早期治療・退院に近づくし、医師の負担軽減にもなる。
病床機能報告と同様に、外来においても地域での役割分担を推進するものだが、先んじて令和4年度診療報酬改定では対応がなされていることを確認しておきたい。それは、「逆紹介割合」の見直しだ。
逆紹介とは、主に専門的な治療を受けてきた患者が病状が安定してきたら、当該医療機関に紹介してくれた医療機関、または紹介がなく来た患者の場合は医療機関の連携室などが今後の通院治療を行う地域の医療機関にお返しすること。これが外来機能分化の考え方の根底にある。開業医及び一般病床200床未満の医療機関が日常診療(二次救急まで含む)を、一般病床200床以上の病院が専門外来や急性期入院医療を行うという考えになっていて、一般病床200床以上の病院を受診するには、他の医療機関からの紹介状がなければ患者は当該医療機関が定める料金を別途自己負担する(地域医療支援病院や特定機能病院の場合はさらに、初診で5,000円の自己負担がある ※令和4年10月以降は7,000円になる予定)。この外来機能分化をつなぎ合わせるのが紹介状であり、診療情報提供書である。特定健診などで紹介状をもらったことがある方もいると思うが、それだ。私も2回もらったことがある。
そこで、逆紹介に戻りたい。逆紹介とは、病状が安定したら地域の医療機関にお返しするもの。しかしながら、それがなかなかうまくいかないことが多い。よくある理由が、複数の疾患を持っていて、一つの治療が完結したとしても他の疾患の治療を当該医療機関で行っているため、利便性を考えて、そのまま通院するというパターン。また、規模の大きな病院だとなんとなくよい治療をしてもらえるというイメージもあるのだろうと思う。
とある医療機関では、「逆紹介を推進するために、医師には無愛想な対応をしてもらうようにすることもある。そうすれば、患者から地域に行ってくれることもある。イメージは確かに悪くなるかもしれないけど、当院は患者だけがお客さんじゃなくて、紹介してくる医療機関もお客さんだから、患者が選ぶよりも、同業者が選んでくれることを重視しての対応だ」というところが。
またこんな医療機関も。「建て替えに合わせて駅から遠くにした。外来も縮小して、認定看護師の育成に積極的に投資した。病院機能評価を更新するのもやめた。患者じゃなくて、同業者がお客さんだから、同業者に選んでもらうことを重視した」、というところも。いずれも逆紹介割合はとても高く、経営もよい状況が続いている。
その逆紹介に改めて着目すると、令和4年度診療報酬改定では一般病床200床以上の地域医療支援病院および許可病床400床以上の病院、特定機能病院、の従来からあった紹介・逆紹介の考え方と割合が見直されている。特筆すべきは、逆紹介の見直し。
ポイントは以下だ。連携強化診療情報提供料とは、令和2年度診療報酬改定で新設された診療情報提供料Ⅲを見直したもの。紹介受診重点医療機関の創設に伴って見直された。
連携強化診療情報提供料とは、その名の通り、日常診療を行う医療機関と重点外来を有する医療機関を結ぶもので、主体は重点外来を有する医療機関となり、日常診療を行う医療機関の求めに応じて、いづれ逆紹介で戻ってくる日に向けた診療状況などの準備状況をフィードバックするものだ。リアルの逆紹介はできていなくとも、患者の経過報告をすることで得られるのがポイントであるとともに、どちらか一方がかかりつけ医機能を有していることが現在は必須(参照:かかりつけ医に3つの定義。診療報酬での評価は?)。なお、紹介受診重点医療機関及び指定難病等を診療する医療機関の場合はかかりつけ医との連携は必須ではない。